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ニーズとともに進化する「ふれあい隊」(1)

2011年7月29日  16時59分

ふれあい隊が6月1日から活動を開始して、2ヵ月近くが過ぎた。“タッピングタッチ”を通じて被災者の方々の心のケアを支援することから始まったふれあい隊の活動は、避難所の閉鎖や仮設住宅への入居が進むなかで、より被災者の方々のニーズに寄り添う形で様々な取り組みに派生している。今回はこれまでのふれあい隊の活動を振り返るとともに、新たな動きをリポートしたい。

仮設住宅での心温まるひととき

  ふれあい隊は6月にスタート。現在は大船渡班と大槌班、釜石班の3つに分かれてタッピングタッチなどの活動を展開している。4名程度で1つのチームを組み、1日に2~3ヵ所ずつ各地域の避難所をローテーションで訪問。なるべく同じ場所で定期的に活動することによって、「まごころのふれあい隊がまた来てくれた」と避難所で暮らす方々にメンバーの顔を覚えて頂きながら、少しずつお互いの信頼関係を深めてきた。 タッピングタッチとは、相手の背中や頭、手足などに自分の両手をあてたり、指先でポンポンと軽く触れることでストレスや不安を和らげて心身のリラックスを促すというもの。体がじわりと温まり、穏やかな眠りをもたらす効果があるほか、医療や福祉の現場、災害時など様々な場面での心のケアにも活用されているという。がれき撤去の作業が目の前に立ちはだかる障壁を直接取り除く「動」のボランティアならば、タッピングタッチは被災者の方々の見えない心の痛みにそっと寄りそう「静」のボランティアだろう。いずれも平穏な日常生活を取り戻すために、地震や津波の残した爪痕を丁寧に根気強く修復していく支援に変わりはない。

ふれあい隊の活動コンセプト

手のひらのぬくもりが、これほどパワーを持っているとは思わなかった。ふれあい隊のタッピングタッチに参加したボランティアの多くは、活動を通じてこのことを実感したのではないだろうか。軽く自分の手のひらを擦り合わせて、相手の背中に自分の両手をそっとあてる。ただ、それだけなのに手のひらから伝わるぬくもりに被災者の方々も最初は皆驚かれていた。「温かいね」、「何か手に仕掛けでもしているの?」、「あら、意外に気持ちがいい。これなら私もみんなにできるかな」・・・手のひらを通じて相手の方のぬくもりがこちらにも次第に伝わり汗ばんでくる。雑然とした避難所のなかでかすかに響く「トクットクッ」という心臓の鼓動。お互いに今、ここに生きていることを感じる瞬間だ。 1回のタッピングタッチにかける時間は約15分。限られた時間のなかにも多くの大切な出会いがある。ふれあい隊のメンバーは被災者の方々に少しでも穏やかなひとときを過ごして頂けるよう、心のなかで祈りながらそれぞれの思いを自分の手のひらに込めている。タッピングタッチを受けられる方の様子もさまざまだ。話し続ける方ならばそのお話にひたすら耳を傾け、つらいことを思い出して涙ぐむ方には黙って両手を当てて寄り添い、眠りたい方は起こさぬよう静かに見守る。タッピングが終わるとみんな柔らかな表情になる。心の緊張が少し緩んだのか、なかには堰を切ったように語りだす方や、涙が止まらない方もいらっしゃる。

大船渡はふれあい隊の活動エリアのひとつ

ある年配の男性はタッピングタッチの終了後に「久しぶりにうたた寝をすることができた」と喜んでお礼にチョコレートを手にいっぱい持たせてくださった。限られた物資のなかで、避難所のみんなを元気づけるような炊き出しを毎日工夫して作ることにやりがいを感じているという女性は、私たちボランティアの日頃の食生活のことまで案じてくれた。また、大船渡での活動中に出会ったある男性は「津波で何もかも失ってしまったが、今がこれまでの(人生の)なかで一番贅沢な暮らしをさせてもらっている。毎日3度の食事が食べられるし、身に着けている服も靴も眼鏡もすべて皆さんから頂いた物ばかりだ。本当にありがたい」と語り、ふれあい隊の佐藤祐冶さんはこの謙虚な言葉に深く感銘を受けたという。仮設住宅に入居された現在も避難所で出会った方々とふれあい隊とのささやかな交流は続いている。

(取材・文 高崎美智子)

 

~つづく~

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。