遠野まごころネットは、釜石市箱崎での瓦礫撤去・清掃活動を継続的に行なっています。
私たちが活動している場所は、釜石湾に突き出している箱崎半島の付け根に位置する漁港の町、箱崎地区です。
箱崎半島には、その他にも白浜、仮宿、桑の浜といった集落があり、どの集落も津波により非常に大きな被害を受けました。
箱崎地区では、100名近くの方が被災されました。また、約240戸の家屋のうち180戸が津波の被害を受けました。
漁港施設も津波で破壊され、地盤沈下もひどく、冠水することもしばしばです。
そして冠水のたび、漁港には非常に多くの漂流物が打ち上げられます。
最近では、5月13日に地元の漁師のみなさんと共に、漁港に漂着した漂流物を清掃しました。
フォークリフトも使い、丸一日掛けて運び出しました。
しかし、その後も冠水のたび、漂着物は打ち上げられ続けています。
終わりのない作業のようにも思えますが、根気よく取り除かなくては、
やっと動き始めた漁業活動にも影響があります。
今後も、地元漁協のみなさんとお話をさせて頂きながら進めていきたいと思っています。
現在、私たちが力を入れている活動は、被災した住宅跡の清掃です。
この地区の住宅地は、コンクリートの基礎部分のみが残っている状態です。
その宅地内の地面には非常にたくさんの瓦礫が残っています。
その瓦礫をボランティアの手で拾い集め、宅地を綺麗にしています。
今後、この住宅地は平成26年3月までに、全ての基礎部分が解体・撤去され、更地になる計画です。
ではなぜ、いずれ解体・撤去される場所を、今あえて綺麗に清掃するのか?
「家のお葬式」
という言い方があります。
ご存じの方も少なくないかもしれません。
たとえ今、そこには基礎部分しか残っていないとしても、そこに住まわれていた方にとって、
そこは、長く暮らし、過ごした、思い入れのある場所です。
玄関跡には玄関が、
浴槽跡にはお風呂場が、
思い出とともに立ち現れる、かけがえのない場所なのです。
そうした場所を、基礎の撤去までの間に、一旦、綺麗な状態に整える。
それは、そこに住まわれていた方にとって、心の整理をつけ、
次に進んで行くための大切なステップとなるのではないかーー
そう信じて、私たちは日々活動しています。
先日も、以前私たちが清掃した宅地跡を訪れ、じっとご覧になっているご家族がいらっしゃいました。
少し離れた場所で活動していた私たちですが、ふと見ると、こちらに向かって静かにお辞儀をされました。
宅地清掃は、人力でひとカケラずつ瓦礫を拾っていく、とても地道な作業です。
機械ではけしてできない作業です。
多くの人の手が、ボランティアの手が、必要とされています。
しかし、震災後1年以上経過した現在、残念ながら、ボランティアの数は明らかに減っています。
宅地清掃を終えることの出来た範囲は、当初の目標を大きく下回っています。
まだまだ、清掃をする場所はたくさん残っており、多くの人手が必要なのです。
みなさんのボランティア活動によって、少しでも多くの方が前に進んでいけるよう、
お手伝いをしてみませんか。
箱崎では、たくさんの手付かずの宅地跡が家のお葬式を静かに待っています。
遠野へいらしてください。
あなたの決断が、動き出す力が、
被災地を後押しする大きなパワーに、きっとなります。
ぜひ、ご協力ください。
箱崎ハード班