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ボランティアに行こう!

<まごころ体験記⑫>

ボランティアに行こう!

粟田 定樹

ゴールデンウィークを利用して、岩手県上閉伊郡大槌町でボランティア活動を実施した。この経験から今後も被災地の支援活動を継続していくことが重要だとメンバーの間で意見が一致し、再び6月10日から12日にかけて現地に行くことを計画した。今回の参加メンバーは川本靖朋、スシル・クルカーニ、小林美穂子、山川奈緒、粟田定樹の5名。今回は5人で2日間の作業を行い1軒の庭の整備、線路脇の側溝の清掃、被災地域で発見された写真の復元を行った。1ヵ月半前と比べて材木等の撤去作業はかなり進んでおり、復旧は確実に形になってきていると感じた。

6月中旬の大槌町の様子

行き先は岩手県以外の候補地も検討したが、前回活動を行った大槌町近辺でボランティアの手が不足していることと、ゴールデンウィークから1ヵ月半が経って復興作業がどの程度進んでいるかを確かめるために、再び岩手県大槌町近辺で作業を行うことにした。 所属するボランティア団体については、前回の活動で訪問し大規模な支援を行っていると感じた遠野まごころネットを選択。今回は寝床やシャワー、ボランティア派遣等、ほぼ全て遠野まごころネットさんのお世話になった。200人以上のボランティアを的確に振り分け、復興支援を着実に行っている組織の姿は圧巻だった。スタッフさんのミーティングでも若い方々が、今後の活動をどう改善していくか小さなことから真剣に話し合っている姿勢にとても刺激を受けた。 シャワーや寝床(体育館のため寝袋持参)、現場のスコップなど作業用具一式はほぼ全て完備されている。また歩いて5分の大型スーパーで食料品は何でも手に入り、近くにコンビニエンスストアや薬局もあった。寝袋と作業道具(帽子、軍手、ゴーグル、マスク、作業着、踏み抜き防止の長靴)を持参すれば、即日ボランティア活動ができる体制が整っている(注:ボランティア保険の加入は必須)。シャワーは4台(男女別で各2台)あり、午前5時から正午と午後3時から同11時まで開放され予約制。さほど問題なく希望の時間に浴びることができた。男性の宿泊場所は体育館で午後10時に消灯だ。

作業の振り分けを記入するボード

ボランティア活動 1日目。まごころネットでは、午前7時から全体集会を行う。ここでは各チームが行き先を希望し、当日の作業場所や内容が決定される。この日は大槌町と陸前高田、釜石が活動先の候補だったので、われわれのチームは前回の作業場である大槌町を希望した。ミーティング中に弱い地震があり、体育館のなかが一瞬静まり返った。 午前8時30分にまごころネットを出発し、バスで現場に向かう。途中で休憩を挟み1時間半ほどで大槌町に到着した。今回は大槌町の中心部に行くことはできなかったが周辺を見る限り、細かい瓦礫はまだ残っているものの、1ヵ月半前と比べて木材等の撤去作業はかなり進んでいるようだった。現場での作業は、一軒家の庭にたまった泥の掃き出し。もともと庭に綺麗な砂利が敷き詰められていたが、津波の被害で砂利の上に泥が被ってしまったため、砂利が入り混じった泥をかき出した後に砂利と泥を振り分け、泥を廃棄して砂利を庭へ元に戻すというのがここでの活動だ。この作業を午前中(10:00-12:00)は13人、午後(13:00-14:00)は16人で各グループに分かれて行った。途中1時間のお昼休憩を挟む。食事は前日に買っておいたパンとソーセージ。ソーセージが格別に美味しく感じた。

ボランティアの合間に昼食をほおばる

前日までに表の庭の作業が半分ほど終わっていたため、当日の砂利の敷き詰めは8~9割ほど終わった。裏庭の掘り起しも全て完了したので、午後2時に作業を終えて片付けをした。この日は震災からちょうど3ヵ月経った6月11日。作業後、現場近くの保育園前に作業者全員(100名程度)が集合し、地震が発生した午後2時45分に黙祷を行った。この保育園では津波で園児9名が犠牲になったという。その後、午後3時に現地を出発し、同4時30分頃にボランティアセンターに帰った。 現場作業後は当日の反省会を体育館で実施。また、午後8時からはまごころネットのスタッフが開催する全体ミーティングにも参加させていただいた。この日参加したのはスタッフとボランティアをあわせて12人程度。現場作業では気づかない、ボランティアセンター内部での生活全般に関する話や、ボランティア活動の内容をどう広めるかなど議論は多岐に渡った。このような地道な活動によって現場の作業が支えられていることを実感した。 ボランティア活動の2日目は5人が3つの作業に分かれて活動を行った。川本とスシル、粟田は陸前高田で線路脇の側溝整備、小林は被害地域で発見された写真の復元、山川はボランティアセンター内の手伝いをした。

線路脇の側溝の清掃

今回初めて現場作業に行った陸前高田では、被害区域の広さは大槌町以上だと感じた。バスでたまたま隣になった方が、ゴールデンウィークに陸前高田に行ったそうで話を聞いたところ、この場所の瓦礫の撤去もかなり進んでいるとのことで驚いた。自衛隊の方々が行われている作業も目に見えて効果が出てきたようだ。 陸前高田での作業内容は線路脇の側溝にたまった泥の掃き出し。全長300~400m程の長さを6グループ100人程度で行う。この地域は多少高台にあったが津波の被害にあったようで側溝は泥で埋まっていた。

側溝に詰まった瓦礫や泥を土嚢袋につめていく

昼休みには被害地域を徒歩で歩き、近くの高台にある神社へお参りに行った。被害に全くあっていない美しい神社とそこから見える風景のギャップに言葉が出なかった。作業を終えて午後3時に現地を出発し、4時半に遠野まごころネットに到着。5時発の電車に乗るため帰り支度をしてタクシーに駆け込んだ。

高台ある神社

遠野まごころネットのホームページに組織のVisionと題した資料が載っており、とても分かりやすいものだったのでこちらでも紹介したい。 このVisionにも書いてあるとおり、復興支援は短期から中長期、そして本格的な復興支援と長い目で考えていかなければならないものだと思う。今後も継続的に現地での活動を行うとともに、さらに広い視野での復興支援を続けていこうと思う。今回の活動を全面的にサポートいただいた遠野まごころネットさん、現場作業にご協力いただいた住民の方々、2日間一緒に活動をともにして大変お世話になった川本君、スシルさん、小林さん、山川さん、皆様本当にありがとうございました。

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粟田定樹    1979年8月2日生 IT関連企業に勤務する傍ら、ボランティア活動を実施。 ボランティア自体今までほとんど経験が無かったが今回の震災をきっかけに活動を開 始。迷ったらとりあえずやってみるをモットーに今後も継続的に復興支援を行う。