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5・7 震災になんて負けないぞ!大船渡のサッカー少年たちが遠野で輝く

試合後、記念写真に納まるFCサンアルタス大船渡(黄)とヴァレンテとおの(青)

試合後、記念写真に納まるFCサンアルタス大船渡(黄)とヴァレンテとおの(青)

遠野まごころネット事務局に隣接する市民サッカー場でこの日、3・11の大津波で甚大な被害を受けた大船渡市のサッカー少年団「FCサンアルタス大船渡」が、地元・遠野の「ヴァレンテとおの」と練習試合を行いました。 大船渡市内5つの小学校の30人が集うサンアルタスには、津波でお父さんを亡くされた選手が1人、家を流されてしまった選手が3人います。練習場の盛小は津波の被害を免れましたが、校舎は避難所に、グラウンドは自衛隊のベースキャンプに変わり、震災から1カ月以上も練習ができませんでした。それでも、4月13日から大船渡高校のグラウンドを借りて活動を再開。地区予選免除で出場できることになった今夏の県大会に向けて、元気に練習に励んでいるそうです。

震災なんかに負けないぞ!(左から自宅が全壊してしまったMF熊谷君とMF新沼君。右は主将のGK木下君)

春爛漫の穏やかな天気の下、満開のサクラの木に囲まれた芝のグラウンドでの試合は、練習不足からくる連係のまずさも出て、岩手の強豪ヴァレンテに0-4で完敗でした。それでも「震災から2カ月もしないで、こんな素晴らしいサッカー場で試合ができるなんて夢のようです」と池田淳監督(42)は感激の表情で話していました。MF新沼陸朗君(大船渡小6年)は大津波で自宅が全壊してしまいましたが「僕の部屋のあった2階だけは、近くの道路の上に残っていたんです。だから、スパイクもユニホームも洗うだけでよかった。家族(4人)も無事だったし、僕なんかまだいい方です。今日はサッカーができて楽しかったけど、次は勝ちたい」とハキハキと話していました。

池田監督(左)の熱い指導を熱心に聞く、FCサンアルタスのイレブン

池田監督(左)の熱い指導を熱心に聞く、FCサンアルタスのイレブン

かつて、大船渡を訪れたJリーグ・ジュビロ磐田の桑原隆元監督(63)が「三陸の高い(ALTA)絶壁に立ち、海から昇る太陽(SUN)を見て」名づけてくれたというサンアルタス。誰もが、恐ろしい体験、つらい思いを胸の内にしまいこんで、太陽のように明るく元気にボールを追いかけていました。