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箱崎地区で拾得物の返却を開始

津波に被災した釜石市の箱崎町は遠野まごころネットが復旧・復興を支援する地域のひとつ。その箱崎地区で自衛隊などが収拾した写真を含む拾得物を、5月以来遠野まごころネットの写真班がその洗浄や修復に取り組んでいた。大勢のボランティアが入れ替わりして行った困難な作業であったが、震災から6ケ月でやっと持ち主に返却することができるまでなった。

拾得物の展示・返却場所は自治会が借りた箱崎地区の仮設住宅で、9月12日から展示と返却を開始し29日までの予定。初日の朝には自治会長の小林さん、写真班の遠藤さん、箱崎地区担当の船田隊長など関係者が顔を合わせて簡単なセレモニー。半年前に無くした物品。どんな写真や品物が現れるのかと大きな期待を持って開場前に集まって来た被災者もいた。

箱崎地区には4か所に仮設住宅があり、約80所帯が住んでいるという。この日は平日で、直前に告知のビラ配りをしたというのに、この一日だけでおよそ20名の被災者が訪れた。会場前にはカフェ隊がテーブルと椅子を並べて飲み物を提供。集まった被災者は飲み物を飲みながら写真を見ては話しがはずんでいた。その話題に耳を傾けると「これは○○だべ」、「これは△△の孫だべ」。この日は一人だけだったが、アルバムの持ち主だった人がいて、「この写真はオレのだ」、「これも」、「これも」と涙を流しながら話していた。もちろん、自分のものがなにもなかった人もいて多くは語らない。「なんにもなかった」という一言だけを耳にした。このような様子を釜石新聞の記者が取材し、釜石市の広報にこのイベントを載せるという。

多くの企業やボランティアの協力があって達成できた写真班の成果。その苦労が溶けて消えるような多くの笑顔が箱崎の一画に満ち溢れた。しかし、箱崎地区に限ったことではないが、住宅が消え去った住宅地、船の見えない港、砂浜の消えた海水浴場、茶色に変色した立ち木などの荒涼とした景色が青空の下に空しく広がっている。まだまだ支援が必要だ。力仕事も被災者に寄りそう仕事も。被災地ではまだまだ多くのボランティアを必要としている。

(取材・文 写真班)