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被災地復興支援ボランティア活動報告(4) – 8/28

被災地復興支援ボランティア活動報告(4) - 8/28

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IT関連企業勤務 横浜在住 塚田 将
日程: 8/28(日)
場所: 岩手県陸前高田市
団体: 遠野まごころネット

陸前高田市の泥かき

AMは陸前高田市気仙町の上長部(かみおさべ)地区で、100名超の体制により泥かきをしました。
作業場所は、元々田んぼか家屋の跡地のような広場で、炎天下ということもあり、20分作業する毎に10分休憩することを繰り返しました。
周囲の山麓の松は、塩害により赤く変色し、枯れてきている様子が目に見えて分かりました。
以前、この地区の海岸沿いには、水産加工会社の冷凍倉庫がありましたが、津波により破壊され、800トンものサンマ、サケといった冷凍水産物が、津波と共にこの地域一体にばら撒かれました。
そして、広範囲に及ぶ水産物の冷凍が融け、腐敗し、発災から2か月近くもの間、強烈な悪臭を放っていたということですが、GWの前後、家屋の瓦礫が散らばる中で、まごころのボランティア活動(通称、サンマ作戦)により、大半の水産物を除去したということです。
その後、7月中旬にようやく重機が入り、瓦礫の撤去が行われたため、8/28にはまだ遺体捜索が行われていました。
そのため、泥かき中に、人のものか動物のものかは判別がつかない遺骨が見つかることもあるといいます。
大槌町の赤浜地区も同様に、捜索が十分に行われていないようです。

発災から半年近くが経過しますが、同じ市区町村内であっても、復旧・復興の歩みは大きく異なっています。
このような事実は、マスメディアでは取り上げられず、被災地から離れた人たちには伝わりません。

復興街づくりイベント

陸前高田・イベント会場盛況

PMは市立高田小学校で開催されていた復興街づくりイベント「街おこし・夢おこし」に皆で参加しました。
地元の商店だけでなく、全国から様々な地方の名物の出店があり、会場は大盛況でした。
陸前高田産の「マスカットサイダー」の生産が再開されたということで、出店の前には行列ができており、私も家族のお土産に3本買いました。
近くの高田高校の多くの生徒達が、懸命にイベントの手伝いをしていました。
彼らの中にも、辛い経験をしてきている子がいると思います。
会場から街の方を見ると、3ヶ月前に比べて、大きな瓦礫は大方片付いているようでした。
しかし、この地域の人たちの多くは、農業や漁業といった自然の恵みにより生計を立てており、土が塩害、ヘドロ、ガラス等の危険物で汚れ、海が引き潮による街の瓦礫で汚れている現状では、生活再建のためには、まだまだ多くの人の力が必要です。
瓦礫の除去は、復旧・復興のほんの一歩に過ぎません。
遠くに見える、津波に耐えた一本松と、市民の手に戻ってきたマスカットサイダーに、復興の希望を見た気がしました。

後に知ったのですが、このイベントは、陸前高田市参与を務めるワタミ会長の渡邉美樹氏が6月に企画立案をし、実行委員長として陣頭指揮を執っていたものでした。

被災者に必要なもの

まごころのセンターには、毎日多くの求人票が貼り出されます。
これはボランティアスタッフによるニーズ調査に基づいて、スタッフ自らが求人しているものです。
被災地の家屋整理、泥かきには、毎日300名近いスタッフがアサインされますが、これとは別のニーズに応えるための求人です。
最近は、被災者の心のケアが多く求められるようになりました。
凄惨な体験、長引く避難生活、将来への不安から、被災者は心身ともに疲弊しているためで、特に、災害弱者と言われるお年寄りや子供のケアが急務となっています。
メンタルケアのプロは少ないため、素人でもできる足湯の出張、仮設カフェの設営、子供のお絵かき教室の開催等が増えてきました。
また、センターには、無料法律相談、無料住宅診断、無料進学支援等、外部団体からの案内も届いており、心のケアの活動を通して、このような支援への橋渡しも行っています。
なお、3Mグループでは、自社製品を無償提供する支援を行っているようです。

支援者に必要なもの

ボランティアスタッフは息切れを始めています。
これまでの阪神・淡路、中越、中越沖の大規模災害を含め、通常、発災から2ヶ月以内に被災者の仮設住宅への移住が完了し、それに伴い、避難所、及び、ボランティアセンターは閉鎖されるそうです。
しかし、今回は、津波・原発により、生活の糧を失った被災者が多く、加えて、政府・行政の対応の遅れもあり、長期間のボランティアが必要とされる見通しです。
また、東北は、短い夏が終わろうとしており、長く寒い冬を向かえようとしています。
現在、大半の被災者は、避難所から仮設住宅に移住していますが、仮設住宅は、夏暑く、冬寒いという特徴があり、避難所と違い、プライバシーが確保される一方、孤立感が高まりやすくなるため、これからが支援の正念場と言えるかもしれません。
しかし、長期間に及ぶボランティアにより、スタッフ自身の生活が逼迫し始めており、支援を続けたくても資金不足のために続けられないという状況が顕在化してきました。

政府・行政は、制度がないと動けません。
制度が作られるのはいつも事後で、時間もかかります。
そこで、想定外の有事の際には、民間の働きが要となりますが、営利組織は事業性が認められないとなかなか動けません。
そのため、非営利組織を中心としたボランティアが、被災者の生命と財産を守るために動くことになります。
この非営利組織の活動の実績を受けて、政府・行政は新たな制度を設け、営利組織はそれをバックボーンに新事業を開発します。
良くも悪くも、これが日本の実情です。

大関輝一氏の論文

まごころの構成団体の1つであるNPO法人「もやい」(派遣村村長で有名になった湯浅誠氏等が2001年に設立)の理事を務める大関輝一氏の被災者支援の論文が、支援を行う上で、大変勉強になりました。
発災以降、時間の経過と共に、被災者の身体や心にどのような変化が起こっているのか、そして、どのような行動を強いられているのか、また、どのような支援者がどのタイミングで現れて、どのような支援を行っているのか等について、災害タイムラインとしてまとめられています。
更に、各フェーズにおいて、どのような課題・ニーズが発生し、どのような対策が必要になるのかが、細やかに丁寧に記述されています。
被災者への理解が広く深く拡がり、また、日本を災害に強い社会にしていくために必要なことが、随所にうかがえました。

◇3・11と被災者支援~災害タイムラインを中心に~ [賃金と社会保障 No.1540]
◇3・11と被災者支援②生活再建期支援の模索 [賃金と社会保障 No.1543・1544]
※山吹書店では抜き刷りして販売しています。(上から定価100円、300円)
http://yamabuki-syoten.net/main.html “書籍の注文”ページから購入できます 11/6確認