郡(こおり)美矢さん(41)は、生まれつき耳が聴こえない。兵庫県但馬市にある耳の不自由な方々の通う小さなキリスト教会で、手話で聖書の言葉を伝える「ろう牧師」を務めている。親友の米国人宣教師ナンシー・ジョルダンさん(62)と、彼女の夫エドさん(64)の車で、遠野にまでやってきた。忙しい仕事をやりくりし、ゴールデンウイークに2日間だけの日程でボランティアに志願。しかし、4日の午前4時に出発し、夕方6時に仙台までたどり着いたところで、3人は悪天候と疲労でギブアップ。やむなく知人宅に宿泊し、再び早朝から遠野を目指したが、まごころネットに着いたのは午前10時。すでに、沿岸の被災地へ行くすべてのバスは出た後だった。被災地まで40~50㌔離れた遠野からの毎朝の無料送迎バスを逃せば、その日は現地での活動はできない。「まごころのシステムをよく知らなかったんで、3人で『え~!!』という感じでした。本当は、こちらでも被災された障がい者のための仕事をしたかったんですけど、残り1日だけじゃそんなことも言ってられませんからね。何でもやろうと、今日の仕事にかけていました」。ジョルダンさんとまごころの手話通訳の助けを借りながらも、自身も大きく口を動かして笑顔で話した。
5・5 魂の声が聞こえる
2011年5月05日 21時40分