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一粒の米流れ来ずんば


お米さん、初めまして
貴方は何処からは流れてきたのですか。
良く無事で、そして塩害の中
我が家の玄関に生き延びてくれましたね。
背は低く、やせてこそおりましたが、
その姿は
がれきの中に一際は凛としてましたよ。言葉にならない感動で
涙がとめどなく、こぼれ落ちました。
私は、菊池 妙 と申します。
貴方には、復興米と、名付けましたよ。
お互い助かった命を
大切に明るく
ゆっくり、ゆっくりで、いいのです。
転んでは起き、又、転んでは起き
生きて行きましょうね。
秋には、貴方の子孫が黄金の実を付け
生まれますように
沢山の方達が努力してくださってます。
力強い希望の証を
授けてくださって
 ありがとうございました。

 

この詩は、大槌町安渡地区で被災された、菊池 妙さんが作られた詩です。
あの日、菊池さんは、「今までにない揺れ、津波が来る!」と判断して、すぐに避難し、助かりました。
自宅は倒壊しました。
その跡地に何度も足を運び「ここは、居間だった、ここは寝室だった」と
在りし日を偲び、泣いていたそうです。
そんな昨秋10月半ばのある日
ふと見ると、玄関跡の脇に稲が実っていました。
安渡は市街地で、田んぼがあるはずもなく、どこからか流れ着いたものが、自生したのです。
「嬉しくて嬉しくて涙がボロボロ出ました」
「稲のはずがない、稲によく似た雑草だ。」ともいわれましたが、
東京農大の先生に見てもらって「間違いない、稲だ」とお墨付きをもらいました。

この話を聞いた、同級生の臼澤さんが「これは、すごい事、大槌で育て増やしたい。責任も感じるが、復興のシンボルにしたい。かつて稲作をしていたので面倒は、俺が見る」と今からワクワクしています。

第二まごころの郷は、去年から家庭菜園作りをして来ました。
それに加えて、
今年は、「平成24年度安渡産大槌復興米」(菊池さん命名)を増やしていきます。 大槌の復興のシンボルにしたいという、菊池さん、臼澤さんの思いを受け止め、秋の収穫を目指します。