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0816 不忘 3.11~三陸海の盆 送り火~

8月16日、大船渡市末崎町太田公園において、三陸海の盆の関連地祭である「送り火」が開催され、郷土芸能や地域の方々による念仏、黙祷などが行われました。

会場には地元の方々のさまざまな想いが書かれた灯篭が吊るされました。木や竹でできた「夢灯り」と呼ばれる灯篭もあり、木の夢灯りは道路の端に並べられ、竹の夢灯りは震災を忘れないという想いを込め、「不忘(ふぼう) 3.11」という形に並べられました。

犠牲になられた方々に黙祷をささげ、会場に集まった人たちが見守るなかで送り火が点火されました。そして送り火、門の浜と正面に向かい合う形で、地元ご婦人の方々による「梅神(ばいしん)念仏」、碁石詩吟会と大船渡詩吟会の合同で行われた詩吟、そして遠野市上郷町の板沢獅子踊りが公演されました。





想いが込められたのは灯篭だけではありません。
会場に来たお客さんに、七夕のように短冊に願いを書いて、用意された竹につけてもらいました。見てみると、思わずクスッとなるような願い事から、胸が切なくなる願い事まで様々でした。津波でお父さんを亡くしたという女の子は、

おとうさん、またきてね。

と短冊に書いていました。お母さんが
「また来年も来ようね。」と言うと、うなずきながら笑顔を浮かべて短冊を竹につけていきました。

公演のすべてが終了した後、会場に来ていたお客さんに線香花火が配られました。会場に運ばれたろうそくで花火に火をつけると、お客さんは家族、友達と一緒に花火を眺めていました。すべての線香花火が終わると同時に、今年の送り火も閉会となりました。

大震災の悲劇を風化させない・・・・そんな思いで開催された「三陸海の盆」。2回目となった今回も、この日を持って行事の終了を迎えました。今日の夢灯りや灯篭に記されたように、震災の記憶を忘れないようにしていきたいと思います。

不忘 3.11

(文・写真 取材班 佐藤雅也)