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「翼」独日高校生交流プロジェクト2015のご報告

岩手県の高校生をドイツに派遣し、異文化に触れ、見聞と視野を広めてもらい、将来の東北復興の力になってもらうことを目的とした「翼」独日高校生交流プロジェクト。3年目となる今年、4回のオリエンテーションを経てドイツ・ベルリンに渡った6名の派遣生の旅をレポートします。

 

「翼」独日高校生交流プロジェクトは、NPO法人 絆・ベルリン様の主催・ロバート・ボッシュ財団様の共催で行われました。両団体の皆様、そしてこのプロジェクトをご支援くださった皆様に、心より感謝いたします。

 

 

◯滞在レポート(2015年7月28日〜 8月7日)

7月28日(火)

ドイツへの出発を控えて、派遣生全員で成田へ移動しました。

ホテル到着後、全体プレゼンテーションと個人プレゼンテーションの最終練習を行いました。

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7月29日(水)

いよいよ、ベルリンへ向けて出発です。

今年も、NPO法人絆・ベルリンの廣瀬さんが日本からご同行くださり、大変安心感がありました。

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乗り継ぎのウィーン空港では、予定よりも出発時間が遅れました。フライトを待つ間、眠そうな派遣生もいました。あともうひと踏ん張りです!

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そしてようやく、ベルリン到着!!

空港では、絆・ベルリンのメンバーの皆様、ホームステイ先の家族の皆様が笑顔でお出迎えしてくださいました。

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絆・ベルリンの副団長のブリギッテさんは、派遣生一人一人にヒマワリの花を用意してくださっていました。

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ドイツの皆様のおもてなしに、感激です!

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実はこの日、派遣生と同行スタッフ全員の預け荷物がロストバゲージするというハプニングがありました。若干の不安を抱えながら、各ホームステイ先へ向かいました。

長い一日、お疲れ様でした。

 

7月30日(木)

この日は、絆・ベルリンの副団長フランク・ブローゼさん・ブリギッテさんご夫妻、フランク・バイヤーさんの案内で、ベルリン市内の史跡観光とベルリンの市庁舎の見学をしました。

フランクさんご夫妻には、今年もプログラムの細かな調査や気配りをしていただきました。ありがとうございます!

肌寒いこの日、ロストバゲージの荷物がまだ届いていなかったため、ホストファミリーの皆様から上着などをお借りして市内を巡りました。お気づかい、感謝です。

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有名なブランデンブルグ門や、ホロコースト記念碑、国会議事堂などを見て、昼食はベルリン市庁舎の食堂でいただきました。

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昼食後は、庁舎内の見学です。

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ベルリンの歴史や町の移り変わりについての解説を、派遣生たちは真剣に聞いていました。

 

なおこの夜までに全員分の荷物が見つかって手元に届きました。ひと安心です。

 

7月31日(金)

この日は、初めにフランク・ブローゼさん、ブリギッテさんご夫妻が住んでいらっしゃるクロイツベルク市内についてフランクさんよりご説明いただき、昨日に続けてベルリンの歴史について学びました。

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その後は、聖ヨハニス・バジリカ教会へ移動しました。

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この教会は、ベルリンが東西に分かれていた冷戦当時は、西ベルリンに住むカトリックの方々のための教会でした。10年ほど前からはポーランドより移民した方々が多く来られるようになったそうです。派遣生はその外観や内装に圧倒されていました。

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その後、世界的にも有名なギターの修理会社PLEKを見学しました。

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ここは、もともとミュージシャンだったオーナーが自分のギターを修理に出した結果に満足が行かず、自分で修理をしたことをきっかけに興した会社です。今では世界中のギターを修理する会社になりました。

ギターにはあまり詳しくなかった派遣生も、精妙な機械や作業工程に目を丸くして感心していました。

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この日の昼食は、ブローゼさん御夫妻のアパートの中庭でいただきました。

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おいしい昼食をご用意してくださったのは、ブローゼさん御夫妻のご友人です。ありがとうございました。

昼食後は、Fichtebunkerの見学です。

 

このFichtebunkerは、もともとはガスの貯蔵庫で、第二次大戦時には防空壕として使用された歴史的建造物です。

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撮影禁止のため、建物内の写真はありません。

第二次大戦の当時、建物内には600の部屋があり、病院もあり、お産も出来る体制が整えられていたとのこと。自家発電のエンジンも備え付けられ、新鮮な空気を循環させていたりと、これまで持っていた防空壕のイメージとはまったく異なっていました。

防空壕としての役割を終えた後は、内部の部屋を行政や会社の事務所にしたり、幼稚園としても開放したりと多様的に使用してきたそうです。なんと現在は屋上にマンションができています。

 

Fichtebunkerの見学の後は、地元の新聞「タグ・シュピーゲル」の取材を受けました。

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ベルリンについてどう思うか、震災時の事やこのプロジェクトに参加した理由などの質問を受けました。初めての取材に少し緊張しながらも、派遣生は真剣に受け答えしていました。この取材の内容は8月5日に掲載されました(「Fukushima」と紹介されていますが……)。

 

このあとは、いよいよ2泊3日で行われるワークキャンプの会場へ移動です。

途中、ベルリンが東西に分かれていた時の国境検問所であるチェックポイント・チャーリーとベルリンの壁博物館にも少し立ち寄りました。

本物のベルリンの壁を見て、触って、派遣生ひとりひとり感じるものがあったようです。

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ワークキャンプが行われる研修センターへ到着後、ドイツ側の参加者5名の方々と対面しました。みなさん日本語を習われており、会話もとても上手です。

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いっしょに夕食をいただいたあと、他己紹介をし合い、この日は終了です。

 

8月1日(土)

ワークキャンプ本番。日本でたくさん練習した全体プレゼンテーション、そして個人プレゼンテーションの日です。

絆・ベルリンの福澤団長のお話の後、いよいよ全体プレゼンテーションです。

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動画が再生できない等、予定通りにいかない部分もありましたが、派遣生みんなで話し合った「震災のイメージ」「心の復興」「防災機能の状況」について、英語で堂々と発表することができました。日本で一生懸命英語の指導をしてくださった絆・ベルリンのガブリエルさん、プレゼンテーションの指導をしてくださった小林亜未さんに改めて感謝いたします。

 

休憩をはさんで、次は個人プレゼンテーションです。

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個人発表は練習時間があまり取れなかったのですが、みなさん本番に強く、震災についてドイツの方々に伝えたいことや自分の思いを、ひとりひとり感情を込めながら立派に発表しました。

 

個人プレゼンテーションの途中には、ベルリン在住のライターである六草いちかさんの「森鴎外の『舞姫』とベルリン」の講義もありました。舞姫の舞台となったベルリンと森鴎外の生き様を学べる大変興味深い講義でした。

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昼休憩の後は、絆・ベルリンのフラウケさんの歌の時間です。

全員でドイツ語の歌を歌い、楽しくリフレッシュしました。

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後半は、ドイツの学生さんの個人発表です。

全員、日本語での発表です。

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原発や行政、憲法についての話など、勉強になる内容でした。

 

この日のワークキャンプは、これにて終了。お疲れ様でした。

 

8月2日(日)

ワークキャンプ最終日。

絆・ベルリンの小林亜未さんとヤーナさんから「コミュニケーション」の講義を受けました。

ワークショップ形式で行われ、色々考えながら楽しく講義を受けることができました。

異文化交流について、改めて考えるきっかけとなる授業でした。

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最後は、絆・ベルリン団長の福澤さんに総括していただき、2泊3日のワークキャンプは終了いたしました。

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終了後は、各ホームステイ先のみなさんとの自由時間。

夕方は集まって、バーベキューを楽しみました。

 

8月3日(月)

駅で待ち合わせをし、絆・ベルリンのヤーナさんの案内の下、NPOベルリン・ターフェルの見学および作業のお手伝いをさせていただきました。こちらへは2013年より毎年訪問させていただいております。

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豊かな社会では食べ物が無駄にされている。食品がたくさんある一方で貧しい方もいる。このアンバランスを埋めたい、何とかしなくては、と生まれたこの団体では、スーパーなどから回収したまだ食べられる食品の分別のお手伝いをさせていただきました。初めは難しかった作業も、徐々に慣れて後半は動きが早くこなせるようになりました。作業を通して「食」について考えるきっかけとなりました。

お昼は、そのようなまだ食べられる食品を使った料理をおいしくいただきました。

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午後は、かつてオリンピックの会場となったオリンピュア競技場を見学させていただきました。

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VIPルームや、サッカー選手のロッカールームやプレスルームなど、普段は見ることのできない部屋も見せていただき、派遣生も大興奮です。

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8月4日(火)

午前中は、USEという障がいをお持ちの方々の物づくり工場の見学を行いました。

ベルリンには障がい者の方の作業所は17カ所あり、USEはその親団体にもなっています。6カ所の作業所に1,000人の利用者、300人の常勤スタッフという大変大きい団体でもあります。

箱作りやイスにブラシなど、一つ一つ丁寧に且つ、遊び心を取り入れたデザインで物づくりをしており、当法人のまごころ就労支援センターとも比べながら、作業工程を見学させていただきました。

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作業の後は、食堂で昼食をいただきました。

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この後は、いよいよ在ドイツ日本国大使館でのレセプションです!

中根猛大使からお話をいただいた後、ドイツでは最後となる全体プレゼンテーションをさせていただきました。

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この時のプレゼンテーションが、一番堂々として真剣さが伝わるものだったと思います。派遣生のこの数日間での成長を感じられる時間となりました

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終わった後は、皆、ほっとした表情を見せておりました。

 

8月5日(水)

プログラム最終日となるこの日は、再生可能エネルギー施設UFA・FABRIKを見学しました。

ここでは、環境に関わる中心要素「エネルギー」「水」「建築材料」「廃棄物」「緑」の5つを基本とした活動を行っています。雨水を再利用したり、屋根の上に植物を植えたり、ソーラーエネルギーを利用したりしていて、再生可能なエネルギーに力を入れているドイツの取り組みを垣間見ることができました。

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夕方は、福澤さんがご自宅で「さよならパーティ」を開いてくださいました。

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最後の夜。おいしい料理をいただきながら、交流をさらに深めました。

同行した遠野まごころネット理事長の臼澤からは、ドイツ語で挨拶させていただきました。

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そして、先日見学したオリンピュア競技場をホームとしているサッカーチーム ヘルタ・ベルリンに所属の細貝萌選手と原口元気選手が、日独協会の竹谷様のご案内のもと、お越しくださいました。派遣生は、はにかみながらも大興奮!

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楽しいパーティーはあっという間に終了。派遣生はドイツのみなさんとの別れを惜しんでいました。

 

8月6日(木)

いよいよ日本へ帰国する日。

帰りたくない!と思うほどに、楽しい思い出がたくさんできたようです。

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8月7日(金)

長い移動を経て、無事日本に到着。 

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お疲れ様でした!

 

ベルリンに着いた当初は若干緊張気味だった6名の派遣生。

帰る頃には、ドイツの学生さんたち全員と仲良くなったのはもちろん、たくさんのことを見て聞いて体験して、そして吸収して、一回り大きくなっていました。

 

今年の「翼」日独高校生交流プロジェクトも無事終了。絆・ベルリンの皆様をはじめ、ホストファミリーの皆様、日本から支えてくださった派遣生のご家族、そして多くの関係者の皆様に、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

絆・ベルリンの皆様によるドイツ語版の報告書コチラから。