直木賞作家で、絵本作家としても著名な志茂田景樹さん(71)が15日夕、遠野まごころネット事務局を電撃訪問した。
志茂田さんは、童話・絵本執筆を手がけるほか99年からは「よい子に読み聞かせ隊」を結成し、自ら全国各地で絵本や児童書の読み聞かせ行脚を行っている。16日以降、大船渡や釜石の避難所で生活する方々への読み聞かせ活動を実施する拠点として選んだ遠野市の民宿に向かう途中だったという。ところが、プライベートでも、おなじみのカラフルで過激(景樹?)なコスチュームだったことで、まごころネットの活動に賛同する地元の『居酒屋 Deん』のスタッフに「発見されてしまい、よくわからないまま、ここに連れてこられた」(志茂田さん)。たまたまこの日の夕方は事務局前で、女優の宮本信子さん(66)提供の食材でボランティアを対象にした「炊き出し」の真っ最中。おいしそうなお弁当とひっつみ汁、おにぎり、デザートが振る舞われているのを見た志茂田さんは、すぐにうれしそうボランティアたちに輪になって食べ始めた。
志茂田さんはこれまでに約30冊の児童書を執筆しており、2001年のペルー大地震の津波の際にも大船渡市の避難所などで、自作の絵本を子供たちに読み聞かせるボランティア活動を行ったという。今回の震災後も原発事故の影響に苦しむ栃木県内の避難所3カ所で読み聞かせを実施。「栃木の子供たちは津波の被害を受けていませんが、放射線が自分たちの体に与える影響をインターネットなどを使って自分たちで調べて、自分たちの体がどうなるのか、大人以上に不安になっていました」と絵本作家らしい視点で語った。今回の個人ボランティア活動については「以前読み聞かせをした大船渡の老若男女のみなさんの安否が、心配ですね」と表情を曇らせた。