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大槌お茶っこ 近況報告

2012年2月17日  15時51分

大槌お茶っこ隊です。みなさま、アクリル毛糸のご支援ありがとうございました。頂いた毛糸を使った編み物お茶っこの様子は追ってご報告します!

大槌社協の依頼により、仮設団地におけるコミュニティ支援(=ご近所付き合い応援)のためのお茶っこ隊発足から半年、仮設団地ごとにコミュニティの進み具合に違いが出てきています。団地ごとにアプローチを変えていますので、本日はそのご報告です。

【集会所のある仮設団地の場合】
住民の方同士の交流が進み、昨年秋ごろから住民の方だけでお茶っこ会を始める仮設団地が出てきていました。また大槌町では2月6日から、集会所に※「地域支援員」が常駐することになり、これまで、お茶っこの時以外は鍵がかかっていたような集会所も、平日は毎日解放されることになりました。

※ 地域支援員…大槌町と北上市の連携事業で各仮設団地の集会所に配置。
集会所の管理や、自治会・住民の方の活動の手伝いを行う。大槌町の場合、
その仮設や近隣仮設の住民が支援員になっている場合が多い。

そうした中で私たちは、通常のお茶っこは、ボランティアではなく住民や「地域支援員」の方々にお任せして、これまでのお茶っこに参加されない方へのアプローチに力点を移しています。

先月末、新年会を行った大槌仮設団地。12の地区から39世帯があつまっています。日頃から住民だけでお茶っこ会を開くなど、交流が進んでいます。ただ、仕事のある方や男性は昼間のお茶っこにはなかなか参加しないため、お茶っこに来ない人たちも楽しめる企画があれば、という声が上がっていました。そこで提案したのが「新年会」です。
私たちは材料を買っていくだけ。事前の出欠確認や会費集め、調理は自治会長さんを中心に住民の皆さんでやっていただきました。

居酒屋のマスターだった方にキッチンはお任せ

女性陣はひたすらおぎにり!

乾杯!

30人が集まって集会所がぎっしり!

お茶っこにはなかなか参加されない男性陣、「思っていたより4倍くらい楽しかった!」、「春になったらバーベキューをやろう!」と大いに盛り上がっていました。

自治会長さんが、「津波はつらいこと。でも、悪いことばかり考えていては前に進めない。津波があったから、みんなと出会えた、新年会もできた。100のうち、1くらいは良いことがある、そう考えて進んでいこう」とおっしゃっていたのが印象的でした。

この日のボランティアは3名。ほとんど何もしていません(笑)。ボランティアによるお茶っこ・新年会ではなく、自治会の新年会になっていました。個人的には半年間お茶っこ隊で活動してきて、この写真を撮った時がいちばん嬉しかった瞬間です。

ただ、仮設が何棟も連なり200世帯で一つの集会所という大規模な仮設団地では、また状況が異なります。お茶っこに来ない人たちに詳しくお話を伺ったところ「隣近所と交流していない」「行っても知らない人ばかりだからお茶っこには行きたくない」という方が多くいらっしゃいました。
その中で「同じ棟の人だけなら行ってみたい」というが意見もあり、仮設全体ではなく、隣近所との交流を希望していることがわかりました。そこで今後、大規模団地では、棟ごとに分けたお茶っこ会を開いてみる予定です。

【集会所のない小規模な仮設団地では】
このように、集会所のある仮設団地では打つ手があるのですが、大槌町には集会場のない小規模な仮設団地が23箇所あります。夏場の間、これらの仮設団地では屋外でお茶っこをしていましたが、冬場はそうはいきません。集まりたくても集まれない状況が続いていました。その中で、住民の方の提案で冬場もお茶っこ会が開けるようになった仮設があります。

■ 大槌町の中でも一番世帯数が少ない大槌第11仮設。バイパスに面していて、近隣に集会所の代わりになる施設がありません。


 

夏場は屋外でお茶っこをしていました。住民同士が集う場所も、外部からイベントが来ることもないため、お茶っこ隊で伺うと全世帯から参加してくださり、時には住民会議の場にもなりました。そこで話し合っていたのは「冬場のお茶っこをどうするか」。
結果は・・・

この部屋が集会所です

自治会長さんのお宅の一室をお茶っこ会場にしていただくことになりました。

新年会、ビデオ鑑賞会など、みんなで次回のお茶っこのテーマを決めて、月に1回楽しく集まっています

■ 大槌第14仮設も集会所がなく、近くに公民館のような公共施設もありませんでした。しかし12月のある日、住民の方が近くに建てられたコミュニティスペース(大槌で活動している他のボランティア団体のものです)を見つけてくださり、月1回お茶っこに使わせてもらうことになりました。

■ 一方、大槌第12仮設ではばらばらの地区から18世帯が生活しています。テントで開催していたときは20名に及ぶ参加者がありましたが、12月からはお茶っこ会がストップしていました。
こちらは空室が一部屋あり、そこを集会所として使用したいというお願いを自治会長さんが何度も行政に申請しているのですが、「災害時に備えて一部屋空けておきたい」「春になったら集会所をつくるから」等の回答で、使用を認めてもらえません。

2月3日、大槌北小仮設商店街・まごころブースに車で皆さんを送迎をして、お茶っこ会を開きました。寒くて散歩もできなくなってしまったという声を受けて世界の医療団から体操の先生を招いて、みんなで体を動かしました。
今年の冬は例年以上に寒く、引きこもりがちだったという皆さん、「体が温かくなった!」と好評でした。

みんなで身体を動かします

車で送迎!

しかし、足腰が弱いご高齢の方、夕飯の準備があるから遠くのお茶っこには参加できないという方もいます。やはり、集会所は歩いていける範囲にあるべきです。こちらの自治会長さんは現在、空室を集会所として月に1回でもお茶っこに使わせて欲しいという請願を町長宛に出すべく、住民のみなさんの署名を集めています。許可が出ることを祈るばかりです。

このように集会所のない仮設団地でも、皆さんが集える場所の確保に努めていきたいと考えています。

以上、ランダムではありますが、活動のご報告でした。全国の皆さまから送って頂いたお菓子や毛糸は、大切に使わせていただいています。今後もご支援よろしくお願いします。

<文・写真=歌代純平>

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。