遠野まごころネット

遠野被災地支援ボランティアネットワーク遠野まごころネット

印刷用ページを表示 印刷用ページを表示

遠野まごころネットが結んだ23年ぶりの家族の絆

2011年6月11日  11時13分

北海道・利尻島でIT関連会社に勤める澤田冬海さん(29)は5日から、実に23年ぶりに遠野市に滞在している。幼いころに両親が離婚。社会に出るまで、母かおるさん(53)と暮らしてきたこともあり、遠野市在住の父方の祖父・三平敦夲(みひら・たいと)さん(82)とは、小学2年生の時から会えずにいた。

23年ぶりに遠野を訪れた澤田冬海さん

その敦夲さんは元大工の経験を生かして、3・11の大震災後に誕生したまごころネットの「82歳の日本最年長ボランティア」として全国のメディアで脚光を浴びていた。そして、父の三平廣幸さん(55)も4月上旬から、北海道の建設会社を休職し、故郷に帰って被災現場のボランティア班長として活躍していた。自身のルーツのある地域を襲った未曽有の大震災以降「私も何かしなければ…どうしよう?」と思い悩んでいた冬海さんの携帯に先週、年に1度は交流があった実父から突然電話が入った。「お~い。1回(遠野に)来ないかあ?」。声のトーンから明らかにお酒が入っているのは分かった。それでも、冬海さんは即答した。「じゃあ行く!」と。京都在住の母も「親孝行、じいちゃん孝行をしてき! ついでに観光もできてええやん」と明るく賛成してくれた。

史上初の「3世代ボランティア」(左から廣幸さん、敦夲さん、冬海さん)

すぐに、まごころネットに参加登録し「のどかな田園風景の印象しかなかった」遠野にやってきた。そして、この23年間「電話で数回話したことしかなかった」おじいちゃんと感激の再会を果たした。そして、まごころ史上初の〝3世代ボランティア〟として、3人そろって大槌町の被災地に通い、浸水した家屋の床張り作業などを一緒に励んだ。冬海さんは「おじいちゃんの大工姿がかっこよかった。私が子供の時には、もう引退していたのに、まさか今回見られるとは思いませんでした」とうれそうに話した。4年前から北海道に移り住み、昨年結婚。「昔は、おじいちゃんと電話で話しても、東北弁が全然わからなかったんです。でも、今回はすんなり理解できた。北海道と東北の人と文化のつながりを感じました」と新発見を喜んだ。美しい女性に成長した孫娘との再会に、敦夲さんも感激を隠さない。「目の中に入れても痛ぐねえげど、実際に入れてみたらすごぐ痛てえんだろな」と冗談と本音の入り混じった照れ笑いで話した。

3人一緒に床張り作業に励む

この遠野の地に「災害支援ボランティア組織」ができなかったら、きっと実現しなかっただろう祖父と孫との感動の再会。修復できなかったかもしれない家族の絆。日本全国、世界各地からボランティアがやってくる遠野まごころネットには、こんな素敵なドラマもある。

4 Responses to “遠野まごころネットが結んだ23年ぶりの家族の絆”

  1. 冬海 |

    山本孝司さん
    コメント書いていただきありがとうございます。三平家を代表しましてお返事書き込みます。
    私は遠野に行くまでは3世代で何かを一緒にやるなんて、考えてもいなかったです。
    微力ながらボランティアに参加させてもらって、それなのにみなさんに支えられながら、お爺ちゃん孝行もさせてもらえて、このような機会を与えてもらえたことに感謝しています。

  2. 冬海 |

    水野哲典さん
    はじめまして。コメント書いてくださりありがとうございます。祖父はきっと書き込みを見て喜んでいると思います。まごころネットの記事はご近所さんにパソコンで見せてもらっているらしいです。父はちょっと忙しくしているようで、まだこちらの記事を見られていないようです。
    本当に今回の滞在で祖父、父以外にも多くの出会いがあり。みなさんのおもいやりをたくさん感じましたね。

  3. 山本孝司 |

    5月7日から2日間 大槌町で「スーパー爺ちゃん」の三平敦夲棟梁とお孫さんの冬海さん達と一緒に、床張りのお手伝いをさせて頂きました。また敦夲さんから毎日3時に起きて 地域の方々に新聞を配達しているとお聞きしました。遠野まごころネットの災害支援ボランティア活動前に、すでに地域に根付いたボランティアを雨の日も、雪の日も毎日実践されているのですね。まさしく「スーパー爺ちゃん」です。
    三平敦夲さんの健康長寿をお祈りいたします。 
    三平廣幸班長にもご無理をお願いして私たちのトラックで大槌町まで行かせて頂きました。微力ながら資材の運搬にお役に立てたのが幸いです。 遠野総合福祉センター前で
    史上初の「3世代ボランティア」の敦夲さん、廣幸さん、冬海さんと一緒に記念撮影させて頂きました。ボランティア活動でより一層の絆が結ばれることを願います。

  4. 水野哲典 |

    こんにちわ!
    5月1日~5月14日迄、遠野まごころネットでボランティア参加させて頂きました。師匠(三平敦夲さん)のご指導のもと、一緒に大槌町の被災地で床上げ作業をさせて頂きました。また、三平廣幸班長とは大槌町の被災地で「今日は〇〇さんから床上げと泥かき作業の依頼が来ていますので行きましょう!」と毎日休みなく頑張っていました。今は床張り作業なんですね。
    三世代一緒に屋根の下で集まることができて良かったですね。ドラマですね。感動しました!(私ごとですが、この震災がなければ、私も師匠や班長とお会いすることが無かったと思います。遠野ではたくさんの感動が待っているような気がします。会社から休みが取れたら大工道具一式持ってまた行きますよ。)

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。