東日本大震災から3カ月。大津波で壊滅的被害を受けた大槌町で、被災された方々の憩いの場として連日大賑わいを見せている「まごころ広場うすざわ」では、地域住民とボランティアが明るく、そして厳粛に、決して風化させてはならないあの日を思う、区切りの1日を迎えました。
5月末に「まごころ体験記」を寄稿していただいた東京在住の角田幸さんは、おいしいクッキーを携えて、約2週間ぶりにまごころネットに戻ってきてくださいました。あらかじめ焼いてこられたオリジナルクッキーを大槌町のまごころ広場で、地元の人たちと一緒にデコレーションを施しました。クッキーの形は花の形や星の形があり、飾り付けるトッピングも色とりどりでした。午前中はご婦人たちがほとんどでしたが、午後になると大勢の子どもたちも来場、みなさんでゆっくりと笑顔で、楽しい時間を過ごしました。
平和で穏やかな空気は、午後から一変しました。この日は、大地震が発生した14時46分に町内アナウンスとサイレンが鳴り響き、亡くなられた人たち、今も行方がわからない方々の冥福を祈る黙祷が一斉に行われました。まごころ広場でもその場の全員が海の方角を向いて黙祷。そして、高野山真言宗で修業を積んでいた小島匡然さんがお経をあげてくださり、その場の全員が今回の震災に改めて思いを馳せていました。小島さんは「みなさんが『今日も1日充実した日だった』と笑顔になることが一番の供養になるのではないでしょうか」と話れました。それが終わると各人は、またそれぞれの作業に戻りました。お経をあげて小島さんはいつの間にか子どもたちとバルーンアートを作りながら遊んでいました。
まごころ広場の副代表でもある「手紙文庫」の臼澤良一館長(62)は「3.11を境に、すべてが変わってしまった。自分がこんなにボランティア活動をするとは思いもしませんでした・・・不思議なものですね。人前で話すことが得意ではなかった私も、話すことに対する恥ずかしさがなくなった。こうして生きている私たちが少しでもまごころを繋いでいって、震災を風化させないようにしなくてはならないですね」と真直ぐに前を向いて話していました。