2012年8月2日から4日の3日間、ボリビア多民族国ラパス市にてチャリティコンサートを行った。
日本の復興を支援するためである。
南米の貧困国であるボリビアから経済大国の日本へ、少しでも多くの寄付金を送ることを目的に企画したこのイベントで、結果として約1000ドルをNPO法人遠野まごころネットへの寄付金として調達することができた。
多くの日本人は、ボリビアがどこにあるのかすらよく知らない。
ボスニアなど、似た名前の他の国と間違えられることもよくある。しかし、音楽による日本人とボリビア人の友好関係は今に始まったものではなく、音楽のためにボリビアに永住する日本人の方もいれば、日本で演奏活動を行ったことのあるボリビア人も少なくない。
意外と、ボリビアと日本の友好の絆は強い。
昨年3月11月以降、多くのボリビア人、とりわけ音楽関係者から日本の復興のために、被災者の助けになるために、できることなら何でもやるという心強い励ましの言葉やお見舞いの言葉をいただいて今に至る。日本と縁のあるボリビア人音楽家によるチャリティコンサート。それは誰にでも思いつく陳腐なアイディアであるが、ボリビアと日本の経済規模の違いを知っている人であれば誰もが、そんなことをしてもボリビアではスズメの涙程度もお金は集まらないだろうと予想できる。コンサートを開催するだけならそれほど難しくないのかもしれないが、ある程度のまとまった額を日本のNPOへ寄付するとなるとボリビアでは容易ではない。
日本に思いを寄せる音楽家の方々はもちろん無料で演奏してくださったが、音響機材や宣伝のためのポスター等の印刷費は負担しなけらばならなかった。ボリビアの企業に協賛をお願いしても、一般のボリビア人は日本は金持ちだと思っている。確かに震災後も日本の開発援助はボリビアの学校や病院を支援し続けており、「日本は金持ちだ」というイメージを助長している。そういった背景からか、ボリビアの企業から協賛金をもらうことはできなかった。チャリティコンサートを実現するための資金調達イベントを行ったが、音響機材代の半分にも満たない金額しか確保できなかった。そんな中、日産自動車株式会社(ボリビア現地法人Taiyo Moters)や早稲田大学校友会リマ稲門会有志の方々の温かいご支援で、チャリティコンサートを実現することができた。
コンサートに来場してくださったボリビア人の方々は、日本文化のファンの方もいれば、純粋に参加アーティストのファンという方もいた。また、ボリビアでは毎年雨季に洪水や土砂崩れで死者が出ており、自分自身も被災したことがあるからこそ日本の被災者のために協力したいという方もいた。ボリビア人だけでなくチリ人の旅行者の方も来場されており、チリも震災で苦しんでいるとのことを話してくださった。
震災から一年半が経過しようとしている今、震災直後に全世界が日本に向けたまなざしは忘れられつつもあれば、まだまだ忘れられることなく日本の復興に力を貸してくださる方もいる。今回ご協力いただいたボリビア人アーティストの皆さん、協賛してくださった企業の皆様、リマ稲門会有志の方々、ご来場いただいた方々、そして復興の現場で頑張っておられる遠野まごころネットの皆様に、心から感謝申し上げます。
2012年8月5日
関谷 裕子
企画概要
I. 開催日
2012年8月2日 3日 4日
II. 開催場所
ホテル・トリノ (ボリビア多民族国ラパス市カジェ・ソカバヤ459)
III. 協賛、賛同
協力してくれたアーティスト