長部小仮設グラウンドに長部小学校・気仙小学校の子どもたちを招き、こけら落としが行われた。子どもたち、そして保護者や地域住民が約300人(地元のお父さんの集計)が集まり、真新しい芝生グラウンドの地を踏んだ。よく晴れた秋の9月の始め、芝生のお披露目には最適の天候。
ちょうど1年前の9月8日、長部小仮設グラウンドが完成した。上長部区長は「町民、人々の手によってつくられたグラウンド。今日は心置きなく楽しんでください」と子どもたちへ語りかけ、温かな目を向けた。
開会式では、サッカー日本代表サイン入りユニフォーム、レアル・マドリード所属のC.ロナウド選手より、一同騒然のサイン入りユニフォーム、長部・気仙小学校に「授業で使ってほしい」とぴっかぴかのサッカーボール20球が寄贈された。
C.ロナウドから「ささやかな贈り物だけど、夢をあきらめないで」と子どもたちへ向けてのメッセージも。
ロナウドからのメッセージに背中を押されたからか、高田FC、長部小野球クラブ、上長部グランドゴルフ愛好会、そして近所の子どもたちがドッヂボールをプレイ。対戦相手はボランティアの大人たち!「がんばるぞ~!!!」「負けないぞ~!!!」あちらこちらから大きな声が聞こえてくる。
子どもたちに混じり、加藤久さんも参戦!高田FCの動きの良さを実感した様子。決して大きくはない身体を使い、できたてホヤホヤのフィールドを全速力で駆け抜けた。
元気いっぱいの掛け声につられて野球を見学。沢山練習している彼らをよく見る。監督の言うことをよく聞き、「はい!」と返事をする。今日は、その練習の成果を発揮する日かな?応援に来ていたお父さん、お母さんも嬉しそう。ベンチから大きな声がマウンドに飛び交った。
こちらのドッヂボールは女の子が大活躍!男の子に負けてられないわよ!と言わんばかりの迫力の投球。「芝生なら転んでも痛くない!」そうそう、芝生ふっかふかだもんね!
上長部グラウンドゴルフ愛好会も、ボランティアに手取り足取り指導。「難しいね~」なんて言いながらも楽しんでいるボランティア。すると上長部区長、見事なホールインワン!
拍手喝采、皆「さすがだね~」と口を揃える。区長は「ハッハッハ~」と照れ笑い。
お昼は、ジンギスカン、ホルモンに白米。ご飯は上長部地区のおがさんたちが用意してくれたもの。大きく口を開け、焼けたジンギスカンを頬張る子どもたち。ジンギスカンの焼き上がりを待つ間は、ボランティアが焼くホルモン焼きに列を作る。右手に箸、左手にタレ入りの器。育ちざかり、箸が止まらず肉を求め彷徨う姿も。
「子ども達が集まれば保護者も、その家族のじじばばも来るから賑やかだ!」「あら~しばらくです~」とゆっくりこちらへ歩いてきたご年配のお母さんに声をかける。離れ離れになった近隣の仲良しさん。「やっぱり子どもたちが楽しそうにしてると嬉しいね」「ご飯足りてる?」とお母さんたちも会話が弾む。
今日の主役は子どもたち。彼らも大震災に遭遇した当事者。地元の方は、子ども達にある想いを抱く。「変わり果てた町が再生していく様子を、確かな目で見続け、大人になった時にこのことを教訓として役立てて欲しい。震災直後は、全ての人たちが驚きと失望感にさいなまれ、不安な日々を送っていた。その後、多くの人たちの善意により色々な援助をいただきながら今日まで歩んで来た。この現実をしっかりと記憶に留めておき、長い人生の中で他人に対する感謝の気持ちを忘れないでほしい。また、人に思いやりの心を伝えられる大人になってほしい」 「このグラウンドは多くの人たちの結晶により完成した。感謝を忘れず、大切に使用してもらいたい」子どもたちへの期待を抱く。この町で子どもたちは成長していく。地域で彼らを応援し、支えていく。
「少年よ、大志を抱け!」閉会式で上長部区長がいきなり司会からマイクを奪い、放った瞬間が忘れられない。
陸前高田、明日に向かってキックオフ!!!
(取材班 山田エリナ)