大船渡市南部に位置する末崎町は穏やかな気候で、そこには大田団地と云う新興住宅地がありました。
なだらかな斜面に多くの家が立ち並び、眼前には海が広がっていました。
しかし、今回の震災・津波で全255世帯中170世帯が全壊となり、10世帯が半壊し、その後取り壊しました。
そして、29名の方がお亡くなりになってしまいました。
現在は、被害を受けながらそこで暮らし続けて来られた在宅被災世帯の方と、自宅を失くし貸家で暮らされている「みなし仮設」の方と、津波の被害は免れた地域の皆さんが生活をされています。
また、近くに以前は市営球場として利用されていた場所があり、そこに仮設団地が建ち多くの方が暮らされています。
住宅は勿論、商店・公園や公民館も流されましたが、支援によりプレハブの公民館が建てられました。
そこで今回私達は、地域の皆さんにゆっくりくつろいで頂きたい、元のコミュニティーの皆さんが集まれる場があれば良いと考え、新しい公民館をお借りし、虎玄「虎っこ隊」の皆さんの協力を得、お茶会を行いました。
催しを行う際は告知が大切です。自治会長や地域の方のご協力で全世帯にお伝えする事ができました。
当日、午前中は雨で集まりが心配されていましたが、お茶会が行われる午後には上がり、地域の方・在宅被災世帯の方・仮設の方で20人以上の方が集まられました。
また、すぐ隣にある一軒家(みなし仮設)には91歳のおばあちゃんが住んでおられ、歩いて来られないと云う事だったので出張お茶会も行いました。
「久しぶりだね~」と云う再会の声や、
虎玄の皆さんがご用意された美味しい和菓子と、ボランティアの方がたてる抹茶を味わい、
「また是非やりたい。」
「楽しかった~!」
「こぅやって皆が集まれたら良いね~。」
と云う声も聞こえ、良いお茶会になりました。
他の地域でも多くの公民館が被害を受けてしまったので、今後もこう云った活動をさせて頂ければと考えています。
【補足】
今回の地震・津波の被害を受けてしまった方が、皆さん仮設住宅で暮らされている訳ではありません。
自宅に大きな被害を受けながらも、補修しながら暮らされてきた在宅被災世帯の方、親戚・親類の家や社宅に避難された方、地元や内陸・県外にあるアパートや貸家に移られた方もいらっしゃいます。
アパート・貸家で暮らされているそのお宅を「みなし仮設」と云います。
みなし仮設は県が家賃を負担し、市がその窓口となっています。
県・市は何処に誰が住んで居るかは把握できているのですが、個人情報保護法の為に民間の団体にはその情報は伝わらず、みなし仮設にお住まいの方・在宅被災世帯・親類宅や社宅に住まれている方へ支援を行き届かせることが難しいのが現状です。
仮設住宅には物資・イベント・炊き出しや情報の支援は多くあるのですが(仮設住宅によっても場所や規模によって支援の格差はあります。)それに比べ、みなし仮設・在宅被災世帯・親類宅や社宅に避難されている世帯には支援が圧倒的に少ないです。(現在は社協や民間の団体が少しずつ訪問しています。)
この様な状況によって大きな支援の格差が生まれ、元々同じ地域に暮らしている方同士でも、その格差によりわだかまり・軋轢が生じてしまっています。
家は残っても仕事を失くされた方や、ご家族を亡くされた方もいらっしゃり、沿岸に住む多くの方が、多かれ少なかれ被害を受けてしまったのです。
現地に居る私達が状況や変化を伝えなければならないと思っています。
1年半以上経った今だからこそ起こる問題は様々あり、今後も変化していきます。
まだまだ決して復興したとは云えない状況です。
皆さんと一緒に今後も寄り添っていけたらと思っておりますので、これからも宜しくお願い致します。
(文・写真 大船渡班)