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陸前高田・生出(おいで)トレッキング 〜渓流沿いを歩き、焼きおにぎり・岩魚の塩焼きを作って味わい、竹鉄砲で遊びました〜

2012年12月09日  09時14分

 11月25日(日)、陸前高田市矢作(やはぎ)町の生出(おいで)地区で、生出川沿いに歩きながら自然を楽しむ生出トレッキングが行われました。

 

 東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市。子ども達にとっては、自分たちの成長を見守ってくれる「懐かしいふるさと」となるはずの景色が、津波によって奪われてしまいました。大切な「ふるさと」、郷土への慈しみ……そうしたものが失われてゆくのをただ見過ごすわけにはいきません。わたしたちは、同じ陸前高田市内でも津波被害を免れた西部山間部に位置し、豊かな自然に恵まれた矢作町生出地区に着目しました。この生出地区には、自然と共生して生きる術に長けた達人たちが暮らし、また「木炭の里」としても知られています。

 この生出の方たちのご協力を仰ぎ、美しい自然、そしてその自然と共生する豊かな暮らしを、子どもたちに少しでも感じてもらう、知ってもらう活動を始めました。人口流出が進む中、将来の陸前高田市の担い手としての子ども達の郷土愛が深まればと考えています。

 今回はそうした活動の2回目にあたります。生出の豊かな自然の中を自ら歩いて体感してもらい、生出で採れたものを自分たちの手で調理し、食べてもらおうと、生出の方々の協力のもと、旧矢作小学校から「ホロタイの郷 炭の家(※)」まで、およそ7kmを歩くトレッキングを企画しました。参加者は横田・竹駒小学校の子どもたちと保護者の方です。(※ 陸前高田市交流促進センター。「ホロタイ」はアイヌ語で「大いなる森」の意。)

 朝8:00、旧矢作小学校に集合し、参加者・スタッフの全員がニックネームなど、自己紹介し、そのあとラジオ体操をして身体をほぐしました。

 さあ出発!先頭を行くガイドは、生出地区の炭焼き名人「つよちゃん」こと鈴木幹(つよし)さん。(※ 下写真左端)

 生出川沿いには様々な名所があります。

・生出川の真ん中にどっかりと腰を下ろした大岩によって川が二分されている「大滝・小滝」。

・高さおよそ20mから流れ落ちる水音も爽やかな「白糸の滝」。

・その昔、戦に破れた武士が追手から逃れるために毒を流したという伝説がいわれの「毒水(ぶすみず)」。もちろん流れは清流そのものです。

・一日約17,000キロリットルの湧水「清水の湧口しずのわっくつ)」。岩手の名水20選にも選ばれ、下流では岩魚養殖にも利用されています。

 歩きながらキノコやわさびなど、様々なものを見つける子も。

       わさびだよ!                 蜂の巣!(※カラです。)

 出発からおよそ3時間、ゴールのホロタイの郷に到着。

 みんなお腹がペコペコ。そこでさっそくおにぎり作り。待っていた生出のお母さんたちと一緒にご飯を丸めていきます。

 こうしてできたおにぎりに味噌を塗って、生出地区特産の炭を贅沢に使った炭火で炙ります。あたりには「焼き味噌おにぎり」の香ばしい匂いが広がりました。

 続いて子どもたちがチャレンジしたのは「岩魚の塩焼き」。生出のお父さんたちがあらかじめ下ごしらえした岩魚に竹串をさしていきます。が、これが結構難しくなかなか真っ直ぐに入りません。どの子も四苦八苦しながらもなんとかやり遂げました。この岩魚もおにぎりと同じく炭火でじっくりと炙られます。

 焼きおにぎりも岩魚もほどよく焼けた頃、お母さんたちが大鍋を運んできました。入っていたのは地元で採れた野菜たっぷりの「芋の子汁」。

 こうして生出のお父さんお母さんたちと一緒の昼食会が始まりました。どの子も自分たちの手で作ったということもあり、岩魚の塩焼き・焼き味噌おにぎり・芋のこ汁を食べる顔は本当に美味しそうでした。そんな子ども達の顔を見て、生出の方々もとても嬉しそうで、とてもにぎやかで楽しい昼食会となりました。

 午後からは、ガイドをしてくださった鈴木さんが昔遊んでいた竹鉄砲を、子どもたちのためにと作ってきていて、子ども達に遊び方を教えてくれました。

 竹鉄砲の弾は「龍のひげ」といわれる植物の実です。はじめはなかなかうまく飛ばせなかった子ども達も、すぐにコツを掴んで「ポンッ!!」という気持ちのいい音を響かせて遠くまで飛ばせるようになりました。その後、子ども達どうしで、誰が一番飛ばせるか競っていました。

 よく晴れ上がった空の下、サッカーやバレーなどボール遊びもおもいっきり楽しみました。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、解散の時間。おみやげにお菓子や生出地区特産の竹炭などのプレゼントもありました。

 参加した子ども達は、自分たちが住む陸前高田市の豊かな自然、美味しい食べ物、そして温かい人たちに出会うことができました。これからも生出地区の皆さんはじめ、たくさんの方と協力しつつ、子ども達という「陸前高田の未来」を育てる活動を続けていきたいと考えています。(※12月15日(土)には「生出クリスマスパーティー」を企画しています。また今後も様々なイベントを開催予定です。ご興味のある方はぜひ活動にご参加ください。)

(報告 陸前高田 矢作チーム / 写真 映像班)

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。