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「翼」日独高校生交流プロジェクト2013のご報告

2013年11月03日  16時15分

ドイツのNPO法人「絆・ベルリン」様のご支援のもと、2013年から2017年にかけての5年間、岩手県沿岸被災地の高校生をドイツに短期派遣するプログラム“「翼」日独高校生交流プロジェクト”。本年2013年8月6日から15日の期間、ドイツのベルリンに5名の高校生が派遣され現地にて様々な交流・活動を行いました。その様子をご報告いたします。

「被災地を離れて、ドイツ社会を体験し、同世代の若者と1週間を過ごし、異文化を経験することによって、将来の被災地復興・活性化に役立たせてほしい」と願う「絆・ベルリン」様のお気持ちにより、本プログラムは実現いたしました。初回となる本年度の派遣先は、ベルリンの現地高校生が通うCanisius(カニジウス)高校でした。関係者の皆様には手厚く暖かな歓迎を頂き、心より感謝申し上げます。

●今回派遣された高校生は以下の5名です。
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  山根 省吾さん(久慈東高校1年・野田村)
  阿部 美月さん(宮古高校2年・宮古市)
  佐藤  秋さん(釜石高校1年・大槌町)
  刈屋 薫乃さん(釜石高校2年・釜石市)
  高橋 菜央さん(大船渡高校1年・住田町)

◎今回の交流の旅を終えた高校生の言葉です。(VIDEO)

■滞在レポート(2013/8/5~2013/8/15)

●8/5(月)遠野出発、東京着、成田泊

全員が集合し遠野を出発するときは雨が強く晴れ間もありませんでしたが、新花巻駅に着いたときは晴天です。5名の高校生の笑顔のお陰だったのかもしれません。出発前に前泊したホテルでは夜にプレゼンテーションの最終予行練習をしました。

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●8/6(火)成田出発、ドイツベルリン(テーゲル空港)到着

成田空港近くのホテルを9時出発。11:40発スカンジナビア航空の出発時間までの間、出国手続き、朝食を済ませた5名は出発ゲート前で写真撮影。昨日の笑顔はどこにいったのか、笑顔がすこし緊張気味!?でしょうか?いざベルリンに行ってまいります!

出発 - 3 出発 - 4

●8/7(水)ドイツ到着 カニジウス高校での交流、ベルリン市内観光、在ドイツ日本大使館表敬訪問挨拶

ベルリンの気温は梅雨明け前の遠野に似ています。雨が突然降ってきます。
唯一の男子、山根君が思いもよらず、レディーファースト(エレベーターやドア)するようになっていたりと、高校生の行動は素直で変化の様子が素敵です。もちろん女子4人も好奇心旺盛に目をキラキラさせて頑張っていました。
絆ベルリンメンバーの皆さんが素晴らしい幟を作っていて下さいました。遠野でのオリエンテーション最終日の写真も入っておりました。その幟は空港でのお迎えや、大使館で使用して頂きました。 

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●8/8(木)ベルリーナ・ターフェル訪問&ボランティア活動参加

朝早くからベルリン市内にある、ベルリーナ・ターフェル(Berliner Tafel)でボランティア活動に参加させてもらいました。活動では、まだ十分食べられるにも関わらず、さまざまな理由で廃棄される食品から、これらを「食べられるもの」「廃棄するもの」に選別する作業を行うグループと、食料を必要としている福祉施設や児童養護施設の人たちや、DV被害者の女性のためのシェルター、路上生活を強いられている人たちなどに届けるための振り分け、袋詰め、の作業を行うグループの2つに分かれて作業をしました。作業後は、紹介スライドでの説明を受け、一緒に昼食をいただきながら、施設の創設理由などを聞かせていただきました。質疑応答の時間では創設者のサビーナさん(Sabine Werth)が、次の訪問先に間に合わないかと思う時間ぎりぎりまで5名の質問に一所懸命にお答えくださいました。高校生たちへの「作業どうでした?」の質問には、「楽しかったです!」「おもしろかったです!」との返答が。日本からの高校生をこころよく受け入れてくださったスタッフの皆様、ありがとうございました!

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●8/9(金)日本語補修校出席&発表

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●8/10(土)・8/11(日)ワークキャンプ参加&プレゼンテーション・ディベート

この2日間行うワークキャンプでは、5名それぞれが興味のある分野、事柄について事前に発表内容文を準備していました。日本とドイツ、それぞれの高校生があらかじめ考えておいたプレゼンテーションの資料(写真・新聞記事など)を持ってきており、発表後に設けられた質疑応答の時間では、ドイツの方からのたくさんの質問がありました。5名それぞれが日本を伝える「外交官」となって本日のディスカッションが終了したのは、夕方16時でした。お疲れ様でした!夕食の歓迎パーティでバーベキューのサイドディッシュを担当した5名は、近くのスーパーへの買出し班、日本から持参した岩手県産のお米を炊く班に分かれ、ご馳走の準備を行いました。手巻き寿司は5名だけで準備し、食べ方も説明しながら、来てくれた方々に日本のソウルフードを振舞いました。夕方からは地元ドイツ人、日本婦人の会、友の会メンバー、総勢約35名が集いました。

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●8/12(月)

障碍者(主に弱視、学習障碍者の方々)のための雇用施設にお邪魔しました。「施設で作られる家具、雑貨は丁寧な作業によって品質の高い製品として売りだすことや、デザイン面で見劣りがしないように、付加価値をつけることも念頭にいれています」「一過性のものでなく、持続的な経済活動を通して、障害者の自立を支えたいです」と施設長がこたえてくださいました。

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●8/13(火)ベルリンの壁見学他

この日はベルリンの壁に関してのワークショップです。かつて東西ドイツを分断する抑圧のシンボルだった「ベルリンの壁」は1989年に崩壊しました。「過去を消しさるな!」というドイツ市民の声のもと、旧ドイツ側の壁に描かれた「イーストギャラリー」が誕生し、主要な観光スポットとなっています。5名は、絆・ベルリンのメンバーの方々に東西ドイツの歴史、壁の崩壊までのストーリーを聞きながら町を見て歩きました。「壁はベルリンの負の歴史です。ドイツの、ヨーロッパの歴史を象徴する重要な文化遺産です」とおっしゃっていました。

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●8/14(水)AMベルリン(テーゲル空港)集合、日本へ移動

空港ロビーには、絆・ベルリンのメンバー、ホストファミリーの方々が朝早いフライトに合わせて集まって下さり、手作りの幕でお見送りしてくださいました。今回のプログラムのご支援をくださった「絆・ベルリン」の方々、ホストファミリーのみなさまの多大なるご協力、本当にありがとうございました。心より感謝いたします。山根君の最後の挨拶は、みなさんに「帰りたくない、帰りたくない。」気持ちが伝わったと思います。近い将来、また会えることを楽しみに名残を惜しみつつお別れしました。今後、高校生もドイツのみなさんも東日本大震災のことを思い出すときには今回のことをきっと思い出すことでしょう。

お別れの日1 お別れの日2 お別れの日3 お別れの日4 お別れの日5 お別れの日6

●8/15(木)AM日本到着、PM新花巻到着、解散

帰郷1 帰郷2

 

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本プロジェクトは、本年から2017年にかけての5年間継続してまいります。

本プロジェクトの主旨にご賛同いただける方がおられましたら、ぜひともご支援をご検討いただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。