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【2015ネパール地震】現地視察リポートとご支援のお願い(1)

2015年6月18日  18時50分

2015年5月31日(日)から6月9日(火)にかけて、遠野まごころネット理事長・多田一彦が、4月に大地震にみまわれたネパールを視察いたしました。被災から1か月半が経ちながらいまだ復興はおろか復旧すらままならない現地の状況をリポートすると同時に、今、現地で必要な支援策を提案し、皆様のご支援を募らせていただきます。

 

ネパール地震
発生日:2015年4月25日(土)
発生時刻: 11時56分26秒   持続時間 :130秒 
震央:カトマンズの北西約77km   震源の深さ:15km
規模:Mw7.8   最大震度:IX(メルカリ震度階級)
地震の種類 :プレート境界型地震、または大陸内プレート内地震
死者:8,700人超   負傷者:20,000人超

 

【以下、多田のリポートです】

 

6月2日12:15PM、カトマンズ空港着。飛行機から見る高い山々は特別な景色です。ネパールは行ってみたい国の一つでしたが、まさかこんな状況下での訪問とは思ってもいませんでした。

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カウンターパートのKrishnaさんが迎えてくれました。空港内には到着した支援物資もあります。ついつい「放置しないで早く活用してほしい」と考えてしまいます。

市内の状況を見ながらホテル「Holy Himalaya」にチェックイン。各部屋のドアがオープンになっている所を見ると泊まり客は少ないようです。でもいわゆる安ホテルなのですが中々良い雰囲気です。

ホテルとKrishnaさんの家のまわりを歩きました

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先ず驚いたのは、ネパールの六本木のような雑多な狭い繁華街の中に、彼の広い豪邸があったことです。隣の私がチェックインしたホテルと同程度の敷地なのです。

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町には、次の大きな地震では必ず倒壊するだろうと思われる4〜6階建てのレンガ造りの建物が、非常に多いです。しかも人々はそれらの建物は壊れなかったから安全だと思っているようで、普通に暮しています(翌日これが本当に恐怖に変わりました)。

6月1日からは学校や商店も再開されて、人通りの少ない遠野と比べればとても活気に満ちていてたくましささえ感じたのですが、現地の人から見ると閑散としているようです。

 

夕方はMahabir Pun氏と連絡がとれたので、彼が経営するコミュニティ・カフェを訪問しました。

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彼は地方の被災地から戻ったところです。彼は、自然エネルギーを活用しながらネパール中にインターネット環境をガンガン自主的に広げている人です。凄いです。彼を行政が活用またはバックアップしていないことが、とても残念です。ネパールの国民や世界の関係者の中ではとても有名な人でした。

被災状況の情報収集と情報発信、そしてバランスの良い支援体制の構築になぜ至らないのか、と言う私の質問に、彼は笑って「同感だ。だからネット環境もコミュニティ・カフェも自分で作ってるんだよ。」「そうか……」と納得した私です。彼が私の滞在中に一緒に動こうと誘ってくれたので勉強させてもらうことにしました。ちなみに彼は会津泉さんの旧知の人で センスの良い野武士という感じでした。この男は将来ネパールを動かすだろうな。

 

カトマンズ市街の被害状況を視察しました。

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最大被害地・普通の被害地・最小被害地……。大変です。このまま次に大きな地震があったら、同程度またはそれ以上の人が犠牲になるでしょう。都市の危機です。認識を変えなければ本当にまずいと思いました。

例えば、5階建てのビルが斜めになって、隣同士支え合っています。斜めになった建物を材木や鉄棒で支えている、3分の1ぐらい壊れている斜めの建物に人が住んで商売をしている等の状況は無数に存在しています。現地の人に尋ねると、「あのビルはこの地震で倒れなかったから安全なのだ。それよりもあのビルはあんなに細くて危険だ」という言葉が返ってきたりします。

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地盤調査や建物の診断は急務で、建物の使用禁止、補強、解体等の措置を早期に判断する必要があります。地盤や基礎に問題があることも明らかです。激しい雨季の雨に対して排水や調整処理がなされていないために、地下にできた見えない水路が地盤を浸食していることも予測できます。なぜなら道路のマンホールやその周辺にも陥没が目立つからです。

この日はこんな風景を無数に見て歩きましたが、こわくてとても入って行けない通りが多いのです。次に大きな地震が起きた場合には、前回を越える死傷者が出る可能性は高いと思います。建築の際に強固な地盤を確認していないこと、どんどん上部に建て増しをしていて建築物の加重が増えていること、雨期の地表面の排水が計画的になされていないことなどは国の政策として改善しなければなりません。そもそも認識が足りないのですから、広島の土砂災害とは異なり、人災とは言えません。認識して対応して行かなければ、次は人災となってしまいます。

 

宿泊した「Holy Himalaya」の社長が、自分が進めている支援事業を見てくれというので、案内をしてもらいました。

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カトマンズ市内で最も被害の大きい町から山に数キロ入った貧困地区に、それはありました。82世帯が暮していますが、多くの子供が小学校を3年でやめてしまうので、当然良い仕事にも就けず、大人になっても働いたり働かなかったりの生活が続いてしまいます。彼は泥を袋に詰めて鉄筋でつなぎ崩れない様にして、子どもの家を建築しました。

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翌日のオープンにはネパールの大臣が3人出席していました。ここでコミュニティ再生に向けて広場をつくり、仕事を作るという試みを進めるそうです。もちろんこの子どもの家は、地元住民の手で作られました。構造的にはやはり鉄筋やつなぎなどが大雑把ですが、平屋なので崩れはしないと思います。後にはこの裏山をレッサーパンダの自然動物園として、この地区の人々をガイドとして生業造りも手がけると言うことです。この仕事を手伝ってくれという誘いを受けています。

 

ネパールの歴史的遺産・美しい都で有名なバクタプールへ行きました。

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地元のスレンドラさんが案内してくれました。空前絶後、被害は甚大です。レンガ造りの街並、この都が本当に綺麗で凄かったのはわかります。本当にもったいない事です。スレンドラさんの実家も崩壊し、義姉が犠牲になり、一族はスレンドラさんの家で生活しています。関係者はここには様々な資金が投入されるだろうと言っていますが、果たしてどのように修復、復元して行くのでしょうか。

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崩壊しかけた建物に人が住んでいることも気がかりです。

このレンガ造りは縦横の鉄筋によるつなぎはまったくなく、歴史的建造物だけに老朽化も進んでいます。人々が本当にこの町が好きだということが良くわかるし、商いもはじめていて、逞しささえも感じます。

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写真は珍しく寺院が残っている状態、寺院が崩壊して土台だけが残っている状態です。多くの寺院はこの状態になっています。

被災者の多くはテントか親戚の家で生活をしており、仮設住宅の整備を急ぐ必要があります。瓦礫を撤去して、建物の診断を急ぎ、どのような方針を出すかが重要です。この復旧、復元には相当の時間と専門的な知識が必要です。

 

その後、ルーマンティのラジャナさんを訪問しました。

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この方は遠野まごころネット理事の松永さんの旧知の人です。ご主人を飛行機事故で亡くされた後に、都市の生活困窮者や弱者支援、そして地域づくりに尽力している凄い女性です。彼女は日本でも度々講演を行うなど精力的に活動を進めていて、この日も本部で勉強会等を忙しく開催していました。仮設住宅のモデルハウスを敷地内に建てていました。

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ちなみにこの材料費は3万円です。

しかし今の課題は、首都の仮設住宅を建築する場所が決まっていないことです。つまり勝手に建てられる場所以外に建てようが無いのです。

その他、ラジャナさんはソーシャル・プロダクツにも熱心に取り組んでいます。遠野まごころネットの活動を紹介しましたが、ソーシャル・ワーク、ソーシャル・プロダクツ、地域つくり事業には興味を持っているようで、今後も更に情報共有しネパールでの支援活動でも協働を進めることにしました。

 

町で見かける仮設住宅は窓や通気口も無く異常に熱いです。

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雨期には、強い雨に風をともなうこともあります。果たしてこれだけで2年や3年を過ごせるのでしょうか。建物の安全診断、地盤調査のみならず、仮設住宅の居住環境の整備についても検討する必要があるのではないでしょうか。診断するだけではなく、それをどう活かすかが課題と言えます。

 

この日の夕方、初めて地元の団体・Educating Nepalの若者達と会い、翌朝にはこの震災で最も被害の多かった地区の一つシンドパルチョークの奥地へと向かいました。シンドパルチョークは途中、チベットや中国国境へと向かう道もあり、不審な顔で検問官がやってきたり、世界中で有名な団体機関の支援車両がたくさん走っていました。私たちが向かったのはその更に奥地で、Educating Nepalの若者達が5年前から通っている所です。

 

【2015ネパール地震】現地視察リポートとご支援のお願い(2)に続く

 

 

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。