12月10、11日に遠野市にて三陸エコビジョンフォーラムが開催され、多くの方とご一緒に復興について考える機会を持ちました。そして実行委員会から、以下の提言が発表されましたので、ご一読ください。
三陸エコビジョンフォーラムとは、平成25年度までの3カ年を実施期間とし、ワークショップ・シンポジウム等を開催します。» 詳細はこちら
三陸エコビジョンフォーラム2011からの提言
このフォーラムを通じて見えてきた「理想の未来像」とは、どこか遠くにあるのではなく、その土地土地の自然と共に生きてきた先人たちの暮らしの中にこそあるということです。
戦後の高度経済成長期以後、私たちはあまりに成長を急ぐあまり、大切な「何か」を忘れてきたのではないかという不安がありました。それは、今回の震災以後に、多くの人が感じた「つながり」ではなかったでしょうか。これは「人と人」はもちろん、「地域と地域」「都市と農村」そして「人と自然」の「つながり」です。
我がふるさとの先人宮沢賢治は、「世界全体が幸福にならないかぎり、個人の幸福はあるえない。」と記しています。この言葉が放つ光を、曇りなき眼でしっかりと見つめ、以下の「三陸エコビジョン」を提言します。
三陸エコビジョン
- 地域内のあらゆる物事を決める際は、地域固有の歴史・文化・自然を尊重し、1000年先の子孫のことを常に考えて決めること。
- お金ではなく「深く思いやる心」にこそ幸せの源があることを忘れず、全ての生命あるものとの「つながり」を大切にし、自然のリズムに合わせた暮らしを実現すること。
- 地球規模で考える視野を持ち、他地域との連携を確保しながら、食料、エネルギー、教育・医療・福祉といったケア、経済、文化について、地域的で、小規模で、身近で、より自然で、より人間的な社会に織り直すこと。
- 自然と共に生きる知恵を身につけ、また、自然を畏怖する心、畏怖の念を呼び戻すために、子供のころからの遊びを通じた自然体験活動を進め、自然の持つ豊かさ、怖さを感じ取れる人間を育てること。
このビジョンを具現化するためには、地域住民が主体となり、集落・コミュニティー単位で計画を作り上げるべきであり、その計画作りを、行政や専門家、民間企業、NPOがサポートしていくものとします。
この計画づくりの当面の指針として以下を掲げます。
- 【1】三陸被災地に持続可能で活力のある地域社会を再生するために、農林水産業の資源維持・循環型のシステムをさらに充実させよう。
そのために消費者は被災地域の産品を沢山購入して支援しよう。 - 【2】木質バイオマス、太陽熱、太陽光などの自然エネルギーを活用し、農林業や集落施設の熱利用、及び住宅の暖房を進めよう。
そのため関連する林業・林産・農産園芸などの事業創出を急ぎ雇用を拡大しよう。 - 【3】津波防止対策は住民の希望を尊重しながら、津波がきたら逃げられるシステムを優先して築き、将来の世代に負担のかからない復興対策を進めよう。
そのために防災施設の耐用年数を明示し、人口動向を正しく反映した復旧事業やメンテナンスのコスト計算を行い、誰もが納得して分かりやすい長期計画を立てよう。 - 【4】防災施設によって生態系に大きな影響が出ないように、自然に順応し生態系と景観を阻害しない柔構造の防災システムを作ろう。
そのために沿岸生態系の動態、再生力、生産力・浄化能力・防災機能を把握し、有効活用を図ろう。