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仮設に暮らす福島と岩手のお母さんたちが「一閑張り」で交流

2012年4月24日  16時39分

遠野まごころネットがこれまでに何度か訪れている福島県。

以前訪れた際、福島の仮設に住むお母さんたちが素敵な「一閑張り」をつくっているのに出会いました。

一閑張りとは、日本各地で農作業の合間につくられてきた伝統工芸品で、竹カゴなどに和紙や布を貼り、柿渋を塗って仕上げたもの。身近なものに丈夫さと美しさをプラスできるうえ、一度つくり方を覚えれば雑貨だけでなく家具などにも応用できます。

そこで遠野まごころネットでは、一閑張りづくりをとおして福島と岩手の仮設居住者同士の交流をサポートしようと、福島のお母さんたちを岩手県へ迎えて一閑張り教室を開催しました。きてくれたのは福島県松川第2仮設に暮らす佐藤美喜子さんを中心としたお母さんたち9人の「一閑張りの会」です。

佐藤さんたちが暮らす松川第2仮設は、福島県の飯舘村から避難している方が多く暮らしているところです。飯舘村は2011年4月に福島第一原子力発電所の事故による強制避難区域に指定され今も6,000人を超える方が家を離れて避難生活をしています。仮設に入居した佐藤さんは、周囲のみんなを元気づけようと他の仮設住宅にも声を掛けて一閑張りづくりによる交流をずっと行なってきていました。

「一閑張りづくりに没頭している間だけでも日頃のつらいことを忘れて気持ちを楽にできたら」と佐藤さんは会をはじめた経緯を振り返ります。

春らしい暖かさに恵まれた4月14日、大槌町にあるまごころの郷第1キューブハウスで、最初の一閑張り教室が行われました。集まってくれたのは小鎚仮設と近隣にお住まいの地元の方、24名。福島と大槌町のお母さんたちは、一閑張りづくりを楽しみながら、お互いの状況を説明したり仮設住宅で暮らすたいへんさを話したりしました。大槌のお母さんたちは「遠く離れていても、仮設に住んでいるたいへんさをわかりあうことができた」「一閑張りをやってみたら本当に簡単にできたので、もっとつくってみたい」と感想を話してくれました。

キューブハウスで一閑張り集まった福島と岩手のお母さんたち

キューブハウスで一閑張り集まった福島と岩手のお母さんたち

和紙を貼ったあと、着物から取った布を貼っているところ

和紙を貼ったあと、着物から取った布を貼っているところ

 

大槌のお母さんの力作を乾燥中

大槌のお母さんの力作を乾燥中

 

大槌での教室が終わったあと、福島のお母さんたちは花巻温泉にある中嶋旅館で一泊。あるお母さんに感想を尋ねると「今回の一閑張り教室で震災後はじめて県外へでてきました。壁が薄い仮設住宅では大きな声を出して笑うことができません。今回はみんなとたくさん話をして打ち解けられて本当によかったです」と笑顔をみせてくれました。

福島のお母さん同士も交流を深めた(花巻温泉・中嶋旅館)

福島のお母さん同士も交流を深めた(花巻温泉・中嶋旅館)

翌15日は、遠野まごころネットの本部がある遠野浄化センター会議室で一閑張り教室が開かれました。浄化センター近くにある遠野仮設や雇用促進住宅にお住まいのみなさん、地元で活動している遠野婦人会のみなさんなどあわせて12人が参加してくれました。

福島のお母さんたちが普段つかっている一閑張りのバッグを参考に

福島のお母さんたちが普段つかっている一閑張りのバッグを参考に

柿渋塗りの方法を説明する佐藤美喜子さん(写真奥)

柿渋塗りの方法を説明する佐藤美喜子さん(写真奥)

 

遠野仮設、雇用促進住宅にお住まいのみなさんと遠野婦人会、遠野まごころネット代表多田一彦、吉田慶

遠野仮設、雇用促進住宅にお住まいのみなさんと遠野婦人会、遠野まごころネット代表多田一彦、吉田慶

一閑張りづくりによる被災者同士の交流が、復興への新しい力を生み出すことになるでしょう。

 


 

福島のお母さんから教わった一閑張りのつくり方

一人あたり材料費:800円程度

和紙を細く切って竹カゴにボンドで貼る

墨で文字を書いた和紙や着物などから取った布をボンドで貼る

・ソファーやクッションなど残しておきたい布を再利用できます。

1日以上乾かす

柿渋を2〜3回重ねて塗る

乾燥させてできあがり

 

「陸前高田市広田町大野地区のコミュニティ施設設営事業」は 「平成23年度(復興支援)被災者支援拠点づくり活動補助事業」の 助成金の補助をいただいています。