ガレキの撤去と清掃活動は、被災された方々の心のケアでもあります。震災から7ヶ月が過ぎ、被災者との交流も増え、互いの距離は確実に近くなりました。この傾向はますます強くなっています。
釜石市箱崎町では、家屋を失った基礎部分からのガレキや土砂出し、草刈が毎日行われています。 多くのボランティアの情熱や高い志のおかげで、かけら一つ見当たらないほどきれいに仕上がります。 ところが多くの現場が、新しい町づくりプランでは更地になってしまうのです。手をかけた敷地も大型重機がいずれ壊してしまいます。 表面的には無駄な行為に見えます。しかし本当の意義は別にあるのです。
家主や地主からすれば、例えもう少し待てば業者が更地にすることが分かっていても、今きれいな状態を見たいはずです。ガレキに、そして草に覆われて荒れ果てた我が家を見たくないのです。それが被災された方々の心情というものでしょう。 箱崎では、その心情だけをくんで活動しています。そして多くのボランティアがその意義に共感してくれます。
きれいに清掃された我が家を見て、ある人はこう言いました。
「元気が出てきた。勇気もわいてきたよ。ここでまた暮らしていけそうな気がしてきたよ。」
またある人はこうも言いました。
「荒れ果てた我が家を家族には見せられなかった。これで皆に見せることができる。家の供養にもなったろう。」
私達はこの言葉のために毎日活動しているのではないでしょうか。復旧、復興のためにはスピードや効率は大切です。しかしそれは業者でもできることです。ボランティアは相手の顔を見ながら、相手の考えを知りながら、真正面に向き合って付き合うことができます。 特別な能力は必要ありません。 誠実に寄り添うことができればそれで充分だと思います。 時には非効率も百も承知の上で活動します。 清掃活動が被災された方々の心のケアにつながっていると実感できるからでしょう。 ボランティアは単なる肉体労働ではありません。 直接人の心に寄り添える誇り高き活動だと思うのです。
箱崎隊長 船田浩二