この4月14日(木)以降、九州は複数回の強い地震に襲われています。特に14日(木)の前震(マグニチュード6.5・最大震度7)そして16日(金)の本震(マグニチュード7.3・最大震度7)は、熊本県と大分県を中心とした広い範囲に大きな被害をもたらしました。4月28日(土)の時点で、49名の方が亡くなり、332名が重傷を負い、2,111の建物が全壊、2,414の建物が半壊する被害が出ています。被害にあわれた方にお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたします。
東日本大震災の直後、私たちの地元・岩手県は熊本の皆様から多大なるご支援をいただきました。ボランティアの方も大勢お越しくださいました。瓦礫撤去の班長として活動してくださった方もおられます。あの時の「恩返し」として、遠野まごころネットも現地を訪れ、微力ながら支援活動に取り組ませていただいています。
◯阿蘇市
阿蘇市は阿蘇山の北側・外輪山との間に広がる美しい町です。
16日の本震の際は、震度6弱の地震に襲われました。写真は掲載しませんが、町中には倒壊した建物が多く見られます。瓦が落ち、ブルーシートがかけられた建物も多くあります(ブルーシートがかけられた建物は、八代市や御船町、益城町など他の地域でも見られました)。外輪山の麓の家々は、土砂崩れの被害が懸念されます。
道路のあちこちには亀裂が走っています。指が入る幅の亀裂はめずらしくありません。車で乗り越えると、かなり衝撃があるところもあります。場所によっては、深さ1メートル近く地面が帯状に陥没して、崖のようになっているところもありました(道路の亀裂もまた、益城町や御船町、南阿蘇村でも見られました)。
熊本市から阿蘇へ通じる主要な道路は、国道57号線です。しかし阿蘇大橋周辺の土砂崩れにより、通行止めになっています。私たちも大津からミルクロードを通ったり、高森から国道265号線抜けたりと、迂回を強いられました。
JR豊肥線も、土砂崩れのため不通です。脱線した車両が線路上に残されています。
お墓もかなり倒壊しています。
一の宮の阿蘇神社は、楼門が落ちてしまいました。かつてはとても重厚で趣きのある楼門でした。残念でなりません。
内牧の阿蘇体育館前は、瓦礫の集積所になっていました。
私たちが訪れた日にはすでに満杯となり、ここでの瓦礫の受け入れは中止になっています。
お住まいが避難区域に指定されたため、また余震が続いているため、大勢の方が避難所等に避難されています。4月28日(木)の時点では、20箇所の避難所で2898名の方が避難生活を送っておられました。下の写真・左側の灰青色の屋根の建物も、避難所のひとつです。
阿蘇市では、遠野まごころネットスタッフの井上恵太が、NPO法人ロシナンテス様といっしょに避難所をまわらせていただいています。避難所代表者の方と状況やニーズなど様々な話をしたり、お年寄りと世間話をしたり、子どもたちと遊んだりしています。
現地はすでに田植えの時期で、一刻も早く田んぼに水を引かなければいけないのですが、用水路が地震で部分的に壊れてしまっています。
その修理など、寄せられるニーズへの対応も進めています。追記:用水路修理のニーズには5月1日に対応しました。
4月30日(土)には、避難勧告が解除された阿蘇市の地区の公民館で、足湯の会とお疲れ様の食事会を住民の方々といっしょにおこないました。写真はその準備の様子です
井上は5月1日(日)現在も阿蘇市に留まっています。滞在中、できうる限り現地の皆様に寄り添い、力になりたいと思います。
なお阿蘇市では、内牧の浄土真宗のお寺・満徳寺様にお世話になっています。満徳寺様、ありがとうございます。
◯菊池市
遠野まごころネットの地元・遠野市と深いご縁のある菊池市。東日本大震災の時に特にご支援をいただいた地域です。支援の要請をいただき、遠野まごころネットスタッフ・木寅健吾が炊き出しに使う豚汁の食材や容器を宮崎県高原町よりお届けさせていただきました。
被災された方々への炊き出し用に調理し、ご提供くださったのは、地元「ヘルスメイト」有志の皆様です。
大槌復興米1トンも支援物資として寄贈させていただきました。
お届けさせていただいた食材や容器ですが、光明寺様はじめ宮崎県高原町の皆様が中心になって調達してくださいました。地元菊池市や関西からご支援くださった方もおられます。ご厚意、感謝いたします。
◯益城町・阿蘇市
東日本大震災の津波で流されてきて、瓦礫の中で実った奇跡の米「大槌復興米」(参考:2015年の栽培の模様)。遠野まごころネットでは、岩手県大槌町の菊池妙さんから託され、大槌の新しい産物に、そして復興のシンボルに育てるため栽培していた大槌復興米600kgを、後方支援をしておられる光明寺様はじめ宮崎県高原町の皆様に寄贈させていただきました。
このお米を、真宗支援ネット オンコのかけはし様が益城町と阿蘇市で被災された皆様に配布してくださいました。
自宅納屋がつぶれて、蓄えの米を失った方もおられるとのこと。避難所に入れない方が集まっている自主避難所で、とても喜んでいただけたそうです。
◯熊本市
大槌復興米、さらに熊本学園大学での炊き出しにもご利用いただきました。
逆境を乗り越えたお米が、被災されたみなさまの力になればと願うばかりです。
◯宮崎県高原町
今回、遠野まごころネットが上記の支援活動をする上で一貫して大変お世話になったのは、高千穂峰と天孫降臨の伝説で有名な宮崎県高原町の皆様です。高原町の皆様、特に浄土真宗のお寺・光明寺様は、大槌町の「まごころ広場」に野菜や果物をお寄贈くださるなど、かねてより遠野まごころネットをご支援くださっています。
高原町の皆様、光明寺様、本当にありがとうございます。今回の件をふくめ、改めて御礼申し上げます。
写真は旧・高原中体育館です。支援物資の受付保管場所になっています。こちらで町役場や社会福祉協議会の皆様、ボランティアの皆様が町民の皆様から寄せられる物資を受け付け、熊本へ送っておられました。
遠野まごころネットのスタッフも、後方支援の後方支援として物資の受け付けや積み出しをお手伝いさせていただきました。その間も、町民の方々が次々と物資を持ち込んでおられました(自分の絵本を寄付してくれた女の子もいました)。
高原町は地震の被害を受けていないためライフラインや流通に影響が出ておらず、しかも熊本県にもさほど遠くなく(八代まで高速道路で1時間ほど)、国道57号線の通行止め区間を迂回しやすいため、後方支援基地として大変有効でした。
支援をさせていただくうえで多大なるご協力を賜っていることを感謝するため、24日(日)には遠野まごころネット理事長の臼澤良一が日高町長様はじめ高原町役場の皆様にご挨拶させていただきました。
臼澤は、益城、御船、南阿蘇、菊池など熊本各地をまわった後の27日(水)、光明寺様で地元出身の学生さんたちとも面談し、自らの東日本大震災での被災体験をお話させていただきました。
この学生さん達は、熊本大学や崇城大学など熊本の大学に通っておられましたが、地震のために地元に避難してきています。ただ避難するだけでなく、なんとか熊本の力になりたいと、体育館での物資の受け付けや保管に汗を流すなど後方支援ボランティアとして大活躍しています。今後の復旧復興への光です。頼もしい限りです。
◯最後に
今回、現地を訪問し、感じたのは、この地震による被害は広範囲かつ大規模であると同時に局所的である、ということです。倒壊した家のとなりに(一見して)被害がない家があることもめずらしくありません。地盤から傾いた地域から少し離れると、ふつうの町並みが続いていたりします。避難所のすぐそば、家の瓦礫を片付けている向こうで、畑仕事をしている人もいます。営業している店もあれば、していない店もあります。快適に走れる道の先が、突然土砂崩れで通行止めになったりしています。被害が「まだら」で、状況が把握しきれない部分があります。
ただそれでも確かなのは、大勢の方々がそれまでの生活を失い、これからの生活がどうなるかわからないというつらい状況にあるという点です。私たちの地元・岩手と同じです。日本でも有数の美しく豊かな土地・熊本は、いつか必ず立ち上がります。その日まで遠野まごころネットも、岩手からできる限りの支援を続けたいと思います。
それから
熊本は今、生活だけでなく、畜産、農業、漁業、そして観光などの産業も傷を負っています。みなさんも、産業が復旧した時、ぜひ熊本被災地の商品を買ったり、観光に行ったりしてみてください。復興につながる非常に有効な経済支援になります。
※今回の熊本支援におきましては、熊本県菊池市様、宮崎県高原町様、光明寺様、満徳寺様、ロシナンテス様、オンコのかけはし様、ジャパン・プラットフォーム様、日本航空様、日産自動車様、遠野まごころネットのボランティアの皆様をはじめ、大勢の方のご協力をいただきました。謹んで御礼申し上げます。
※一部現物でのご支援をいただいておりますが、以上の支援活動は遠野まごころネットの自己資金で行っております。活動支援金をご寄付いただける方がおられましたら、どうぞご協力をよろしくお願いいたします。
一般活動支援金口座
岩手銀行 遠野支店
普通2045377
名義:トクヒ)トオノマゴコロネット
※熊本の支援を含め、遠野まごころネットの活動全般に使われます。領収書が必要な方は0198-62-1001かtonomagokoro@gmail.comまでご連絡ください(参考)。遠野まごころネットの事務所や施設に直接お持ちいただいてもけっこうです。