東日本大震災により犠牲になった人々を偲び、震災の悲劇を永遠に忘れないことを目的とした恒例の郷土芸能競演行事「三陸海の盆」。これまで神楽や鹿子踊りをはじめ、さまざまな伝統芸能が披露されてきました。第七回を迎える今年は、8月11日(金・祝)、岩手県宮古市田老地区で開催されます。
田老は「津波太郎(田老)」の異名を与えられるほど繰り返し津波の被害を受けてきた地域です。慶長三陸地震津波、明治29年の明治三陸津波、昭和8年の昭和三陸津波で壊滅的な被害を出しています。平成23年の東日本大震災でも、残念ながら大きな被害を受けてしまいました。
その後、復旧復興が進み、現在はお店や家が新築され、町が再建されつつあります。
写真の奥が田老の市街地、そして手前が新たに住宅地が形成されている三王地区です。
かつて津波の被害を防ぐために建設されたのが、「万里の長城」と呼ばれる防潮堤です。
昭和9年に建設が開始され、昭和33年に完成した防潮堤は、町を二重に守るX字型。高さ10メートル、総延長は2キロに達します。この防潮堤ですら、東日本大震災の津波は乗り越えてきました。
現在、外側の防潮堤は解体され、さらに高い防潮堤がつくられつつあります。
毎年3月11日には、NPO法人立ち上がるぞ!宮古市田老をはじめとする地元の皆さんが内側の防潮堤の上で手をつなぎ、東日本大震災で犠牲になった方々を偲んで黙祷を捧げられています(遠野まごころネットのボランティアさんにも2012年と2013年にご参加いただきました)。
田老は、昭和三陸津波での被災体験を紙芝居にし、あの「てんでんこ」の精神を世に伝えた田畑ヨシさんの出身地でもあります。
被災したたろう観光ホテルが震災遺構として保存されていることからもわかるように、津波の教訓を未来に伝える防災教育に力を入れている地域です。
田老はジオサイト(地球活動の歴史を実際に見ることができる地域)として有名なスポットもあります。三王岩です。
左から女岩、男岩、太鼓岩という3つの奇岩が連なっている景勝です。県の天然記念物となっています。
津波で打ち上げられた「津波石」としては、田野畑村羅賀地区のものが有名ですが、ここ田老にもあります。
三王岩のそばにある優におとなの背丈以上あるこの岩が、今回の津波で打ち上げられたそうです。
岩のくぼみには、松が生えています。震災後に芽生え、育ち続けて6年目を迎えた松は、地元の方々にとってご神木だそうです。
2012年と2013年、遠野まごころネットのボランティアさんにお買い物していただいた道の駅は、市街地に移転しました。三陸海の盆の会場はこのすぐそばになります(三陸鉄道田老駅から徒歩15分くらいです)。
道の駅にはコンビニや産直(写真のドーム型の建物です)があるほか、市内のグリーンピア(仮設住宅と仮設商店街があります)から本設移転されたお店でおいしい定食が食べられます。
写真はドンコ(魚)の唐揚げ丼です。
そのほか、名物として高品質ブランドわかめ「真崎わかめ」やSea級グルメ「真崎焼き」、銘菓「田老かりんとう」がある田老は、とても魅力ある町です。ぜひ今年の三陸海の盆にお客様としてまたボランティアさんとしてご参加いただき、亡くなった方々を悼むとともに、田老の復興を応援いただければと思います。
◯「三陸海の盆」これまでの歩み